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円熟のゴルフを見せる、
宮里藍を支えているもの。
~“考えない”トレーニング~ 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

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photograph byTaku Miyamoto

posted2012/03/12 06:00

円熟のゴルフを見せる、宮里藍を支えているもの。~“考えない”トレーニング~<Number Web> photograph by Taku Miyamoto

開幕から2戦連続10位以内をキープした宮里。世界ランク9位につけている(3月5日現在)。

 今季の宮里藍が、生き生きしている。宮里にとっての開幕戦、ホンダLPGAタイランドでは、昨年の賞金女王ヤニ・ツェンとの激戦の末、惜しくも2位となった。だが、ゴルフの内容は昨年以上で、まさに円熟のプレーを見せた。

 最終日、前半で3バーディ、3ボギーとスコアを伸ばせず、いままでならばここでブレーキがかかってしまうところだったが、後半は4バーディ、ノーボギーという素晴らしいゴルフを展開した。ヤニ・ツェンは、グイグイと迫ってくる宮里の影に怯えたに違いない。優勝したヤニ・ツェンが、思わず涙をこぼし、2位となった宮里に笑顔があったというのも印象的だった。

 宮里にしてみれば、敗れはしたものの納得のいくゲームができたということだろう。事実、彼女は「自分のゴルフが貫けた」と言った。その言葉をもう少し噛み砕くと、ショットそのものの出来不出来というよりも、ショットに入る前に、どれだけ雑念を払い、普段通り集中して打てたかどうかということだと思う。

アニカ・ソレンスタムと同じメンタルコーチによるカウンセリング。

 宮里は、「ビジョン54」の哲学で知られるピア・ニールソンと、リン・マリオットにメンタルコーチを頼み、トレーニング、カウンセリングを受けている。彼女たちは、5年連続賞金女王に輝いたアニカ・ソレンスタムのメンタルコーチとしても有名だ。彼女たちが提案する意識の持ち方として、「シンク(思考)・ボックス」と「プレー・ボックス」を切り離して、そのボックスの間に決断というラインを引いてプレーするというアドバイスがある。アドレスしたあとに、考えない、逡巡しない、悩まない。逆に、思考停止していつもどおりのスイングをすることだけに集中するのだという。

 宮里が、米女子ツアーの中で飛ばし屋の部類に入らないゴルファーであっても、これだけの成績を残せるのは、すべてのショットの精度を高めていくという以外に、このメンタルトレーニングの効能が非常に大きいと思う。

 今季2戦目のHSBC選手権(シンガポール)でも、最終日、前日で崩れかけた流れを引き戻し、69というスコアでまとめて6位となった。長い間のメンタルトレーニングが、プレーの中でごく自然に発揮されるようになったことが、宮里藍の成熟のゴルフを支えている。

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宮里藍
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