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<2012日本女子プロゴルフツアー展望> 「女王の座を賭けた世界最高峰の戦いが始まる」 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byAFLO/KYODO

posted2012/03/08 05:59

 現在の日本のプロスポーツで、最も成功している競技団体は、女子のプロゴルフだろう。景気が回復しない中、'12年の女子ツアーは昨年より1試合増えて35試合、賞金総額は29億5900万円で、昨年の日程発表時より9400万円も増えている。米女子ツアーは今年28試合だ。賞金総額は米女子ツアーの方が高いものの、円高によって、ドルに換算すると、日米の賞金額の差は縮まっている。

 昨年、獲得賞金50万ドル(約4000万円)以上の選手は米ツアー24人、日本ツアー18人。昨年は東日本大震災の影響で1試合が不成立、3試合が中止でこの数字だったのだから、今年はこの差がさらに縮まるだろう。金銭面ではもはや同等の水準だ。日本のプロスポーツで、選手の収入が世界の最高峰と同等という競技団体は、ほかにない。

 今年は3月2日、ダイキンオーキッドレディス(琉球ゴルフ倶楽部)で開幕した。賞金女王は2年連続で韓国のアン・ソンジュ。昨年は大差がつき、最終戦の前にタイトルが決まってしまう展開だった。それでも女子ゴルフには存在感があった。震災支援に迅速に取り組み、ツアーにおいては、目を見張るような記録が生まれた。支援と記録、その両方で、女子ゴルフ界の顔として活躍したのが有村智恵だ。

初の賞金女王に挑む有村智恵と復活を期す諸見里しのぶ。

 東北高校の出身で、震災のあと賞金から約1200万円を寄付。インターネットの寄付サイトでも1000万円以上集めた。試合では、7月のスタンレーレディスでアルバトロスとホールインワンを同じ日に達成。日本のプロゴルフ史上初の快挙で、社会的なニュースを提供した。 昨年は8月に左手首を痛め、年間24試合しか出場できなかったが、それでも3勝を挙げて賞金ランキングは日本人最上位の3位。初の賞金女王に挑む機は熟したと言っていい。ただ今年は、痛めた左手首を「時間を使って治したい」と開幕から3試合の欠場をすでに決めている。初戦は3月下旬になりそうだ。

 有村が快挙を達成した同じスタンレーレディスで、「ハーフ9アンダー」を記録、スコア27が「9ホールの世界最少スコア」としてギネスブックに承認されたのが諸見里しのぶだ。記録は作ったが、'09年に横峯さくらと、最終戦最終ホールまで賞金女王を争う名勝負を見せて以来、最近2年間、勝っていない。しかしパットが安定してくれば、もう一度タイトル争いに参戦してくるはずだ。

 そして今年、飛躍すれば間違いなくツアーが面白くなる、というのが、笠りつ子と金田久美子、そして復活してきたベテラン大山志保の3人だ。

<次ページへ続く>

【次ページ】 小林浩美会長は「世界に通じる団体を目指す」。

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