主力をほとんど欠いた2軍以下のセルビアに0-3と惨敗。代表23人の最終選考どころか、守備の根本的な見直しを迫られた

セルビア戦完敗はメディアにも責任。
岡田ジャパンに本物のサッカー愛を!!

杉山茂樹 = 文 ⇒この著者の記事一覧

text by Shigeki Sugiyama

photograph by Toshiya Kondo

セルビア戦完敗はメディアにも責任。岡田ジャパンに本物のサッカー愛を!!

 岡田ジャパンが、セルビア代表ならぬ「セルビア選抜」と対戦したのは、僕がちょうど海外に出かけている間だった。というわけで、その感想は、編集部から送られてきたDVDを頼りにしたものになる。つまり、あまり詳しいことは言えないし、言うべきではないのだが、ざっと見る限り、岡田ジャパンのプレーが普段と特別違っていたようには見えなかった。

 いつも通りのプレーをして0-3で敗れた。国内組主体。メンバーが多少替わっても、やっているサッカーに変わりはほとんどなかった。

 岡田ジャパンは今回の国際親善試合を含めてこれまで43試合を戦ってきたが、そのなかにこの日、2ゴールの活躍をしたムルジャ級のFWを備えたチームはどれほどいたか。この敗戦が通算7敗目という事実が、それを端的に物語っている。

 ちょっとミスしても失点を食わない相手とばかり対戦してきたからこそ、ショッキングな出来事に映った。僕にはそう見えた。ボールは一応支配していたし、なんとなくゲームを優勢に進めていた。そうした意味ではいつもと何も変わらなかった。結果を知った上での観戦だったことも輪をかけるが、人が騒ぐほどショックを受けたわけではない。予想通りのことが、予想通りに起きたに過ぎないのだ。

0-3という現実を隠蔽し続けたアナウンサーの実況に愕然。

 だからといって、僕が平常心で画面を見ていたわけではない。この試合で一番驚いたのは、スタンドの生観戦では耳に入ってこないもの。つまりアナウンサーの実況になる。驚きを通り越し、呆れるしかなかった。岡田ジャパンがダメな本質的な理由を見た気さえした。

 世の中は今、嘘っぽいモノであふれている。とはいえ、ここまで極端なのも珍しい。W杯本大会まであと2カ月。にもかかわらず、アナ氏の実況からは、怒りや焦り、悲しみはもちろんのこと緊迫感、危機感など、感情という類のものが一切伝わってこなかった。サッカーを生で見ていて、ここまで喜怒哀楽を抑えられる人はいるだろうか。申し訳ないが、とても普通の感情を持った人間には見えなかった。早い話が、0-3という現状にあえて触れまいと必死に取り繕っていた。

 もっとも、チャンネルを変えられては困るのか「代表選考前の最後の試合です」と、この試合の重大さをアピールすることだけは忘れなかった。しかし、それをしきりに連呼すればするほど、もっと重大なテーマから目を背けていることは明白になった。マラソンの五輪代表選手選考会と一緒にするな、である。

<次ページへ続く>

【次ページ】 サッカーは民主主義の象徴にほかならないと思う。

筆者プロフィール

杉山茂樹

1959年7月8日生まれ。静岡県出身。大学卒業後、フリーのライターとして「Sports Graphic Number」やサッカー専門誌などで執筆するほか、解説者としても活躍中。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「ワールドカップが夢だった。」(ダイヤモンド社)、「サッカー世界基準100」(実業之日本)、「4-2-3-1」(光文社新書)、「日本サッカー偏差値52 」(じっぴコンパクト)などがある。


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