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デ杯クロアチア戦敗退と、
代表に走った更なる衝撃。
~テニス日本代表監督の辞任~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

PROFILE

photograph byHiroshi Sato/Mannys photography

posted2012/02/27 06:00

デ杯クロアチア戦敗退と、代表に走った更なる衝撃。~テニス日本代表監督の辞任~<Number Web> photograph by Hiroshi Sato/Mannys photography

クルム伊達の元コーチでもある竹内監督(右)が、愛情を注いで代表をWG復帰まで育てた

 デビスカップで27年ぶりにワールドグループに復帰した日本は、1回戦でクロアチアに敗れた。身長208cmの巨漢イボ・カロビッチが、時速200km超のサーブを武器に、日本の前に立ちふさがった。野球で長身投手の投球を「2階から投げ下ろすような」と形容するが、彼のサーブがまさにそうだった。

 サーブというのは実は、上からたたくものではない。標準的な身長の選手が上からたたいたとすれば、ボールはネットを越えない。そこで、打ち上げるようにしてボールに回転をかけ、コートに収めるのだ。ところが、カロビッチだけは別。まさに上からたたきつける常識破りのサーブに、錦織圭も「受けたことがないサーブだった。あのスピードではどうしようもない」とお手上げだった。

 錦織も、チームの勝敗が懸かる最終戦を任された添田豪も、カロビッチにストレート負け。両選手とも、相手のサービスゲームを破るどころかブレークポイントを握ることさえできなかった。カロビッチ一人に単複で3つの白星を献上し、日本は2勝3敗で涙を飲んだ。

「2、3年後、彼らは必ずやってくれる」と予言して退いた竹内監督。

 落胆する選手たちに追い打ちをかけるような衝撃が走った。'05年からチームを率いた竹内映二監督が辞意を伝えたのだ。錦織、添田と伊藤竜馬、杉田祐一をデ杯選手として一人前に育て、ワールドグループ復帰を実現させた功労者だが、「同じ人が長くやるのではなく、若い力を入れていくのは大事なこと」と、後進に道を譲ると対戦前から決めていたのだ。

 昨年のデ杯フィリピン戦の直前に、竹内監督は「もし敗れても、よき敗者であれ」と選手に話した。スポーツマンにふさわしくない態度は彼が最も嫌うものだ。とはいえ、敵地に乗り込む前夜に「よき敗者であれ」と説く監督など、そうはいないだろう。竹内監督とは、そういう指揮官だった。

 日本は9月に行なわれるプレーオフにワールドグループ残留を懸ける。添田が「ワールドグループでも十分やれる手応えがあった」と話したように、'05年に世界一になった強豪クロアチアとの戦いで、選手は大きな自信を得ただろう。

「2、3年後、彼らは必ずやってくれる」

 竹内監督は教え子たちが世界を驚かせる日が来ると予言して退いた。まずは、是が非でも残留を勝ち取ってほしい。

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