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カダフィから解放された、
リビアサッカーの再出発。
~“アラブの春”とスポーツ~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2012/02/19 08:00

カダフィから解放された、リビアサッカーの再出発。~“アラブの春”とスポーツ~<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

昨年6月、解放軍に加わっていた2人のプロサッカー選手。代表選手4人も合流していた

 ガボンと赤道ギニアで開催されていたアフリカネーションズ杯。注目していたのが、カダフィ政権崩壊後、初めて国際大会に姿を現したリビア代表だ。

 リビアのサッカーは、長年カダフィ一族が同政権のプロパガンダとして利用してきた。カダフィの息子サーディは一時セリエAのペルージャに在籍し、代表主将にも強引に就任。国内リーグは彼が支持するアルアリ・トリポリが勝つように仕組まれたことがあるなど、政治と同様の独裁体制が敷かれていた。

 しかし昨年8月にカダフィ政権が倒れ、サッカーにもようやく春が訪れる。国内は現在も内戦の傷跡が残っており、サッカーよりも復興を優先すべきとの意見もあった。だが、大会が始まってみれば国民の多くが新国家のシンボルでもある代表チームの動向を見守った。

 新たな国旗をユニフォームに縫い付けた代表を人々は誇りとしているが、ピッチの上のチームはまだ再建中だ。

 長年中心選手だった元主将のMFタリク・アルタイブがカダフィ支持を表明し、さらに解放軍を「ネズミ」と呼んだことでチームメイトやサポーターの反発を買い、代表から外された。またMFアメド・アルサギールが肩に銃撃を受けてメンバー落ちするなど、体制の動乱はチーム構成にも影響を及ぼしている。内戦により国内リーグは昨年2月以降中止となっており、調整不足の代表選手も多かった。

リセットされたリビアのサッカーはどうなる?

 今大会は惜しくもグループ突破は叶わなかったが、参加することに意義があったとの声も多い。「単なるサッカーの大会ではなく、我々にとっては大きな意味を持つものだった。リビアのために何かをしたかった」と、内戦時に最前線で戦ったFWアル・カトロウシは言う。

 代表だけでなく、国内リーグも復興に向けて動き出している。

 2月下旬にはリビアで「アラブの春トーナメント」と呼ばれるクラブ間の国際大会が開かれ、エジプトやチュニジアのクラブも参加する予定だ。人々が母国でサッカーを目にするのは、約1年ぶりのことになる。

 リセットされたリビアのサッカー。スポーツの世界において国際復帰する意味でも、現在は目先の結果よりも、新たな国旗を胸にピッチに立ち続けることが何よりも重要なはずだ。

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