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<我がバルサが目指すもの> シャビ・エルナンデス 「相手を絶望させるサッカーを」 

text by

横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

PROFILE

photograph byDaisuke Nakashima

posted2012/02/14 06:01

指揮官グアルディオラの意図を誰よりも理解し、
ピッチ上で具現化するチームリーダーが、
バルサの目指すサッカーについて語り尽くした。
明らかになったのは、対戦相手を完膚なきまでに
圧倒しようとする無慈悲なまでの“理想”だった。

 昨シーズンの半ば頃だったろうか、「バルセロナの試合は退屈だ」という声が聞こえ始めた。どこが相手であっても同じ展開になるからだ。

 キックオフ後まもなくバルサがボールを持ち、パスを繋ぐ。

 相手のディフェンス網に穴が開いたところでゴールを決める。

 そして再びパスを廻し、タイミングを見計らって2点目、3点目……。

 このまま90分が終ってしまうため、ハラハラドキドキのダイナミックな試合が好きな人は落胆してしまう。

 しかし、よくよく考えてみると、今もこれだけ強いというのは大変なことである。

 ジョゼップ・グアルディオラが監督に就いた'08-'09シーズンに三冠王者となって以来、バルサはスペイン国内でもヨーロッパでも「倒すべき相手」として分析されてきた。

 それなのに完璧に止められたことは未だ一度もないのだ。

 この3年半、全公式戦の85%に出場してきたシャビ・エルナンデスは、その理由を「僕らのサッカーも絶えず進化しているからだ」と語る。

「今シーズンの変化は、話題になっているスリーバックだろうね。実のところ、以前からチームがボールを持つと、自動的に右サイドバックが上がっていたから、目新しいことじゃないんだけどね。ならば今季はどこが違うのかというと、その右サイドバックのダニ・アウベスがより中盤のプレイに関わるようになったことかな。対戦相手の9割はワントップでくるってことがわかっているから、マークに不都合が生じることはないんだ」

毎年、基礎戦術を変えてきたグアルディオラ。 

 振り返ると、グアルディオラは毎年フォーメーションに手を加えることで基礎戦術を変えてきた。

 '08-'09シーズン終盤にはリオネル・メッシを右サイドから離し、中央でボールに絡ませるようにした。その後バルサの中では明らかに異質な特徴を持っていたズラタン・イブラヒモビッチを試すこともした。昨季は陣形の上ではセンターフォワードであるメッシに完全な自由を与え、ゴール前に張っている者がいなくても得点できることを証明した。また攻撃時は両サイドバックを上げ、ピボーテを下がらせ、シャビが言うとおりのスリーバックを作っていた。そして今季は前述のアウベスの位置の他、セスク・ファブレガスを攻撃陣のリベロとして使っている。

「監督の意図は中盤で数的優位を作ることなんだ。ディフェンダーを減らせば中盤の選手を増やせるからね。

 クラブワールドカップ決勝のサントス戦を例に説明すると、あのときセスクとメッシはツートップのように高いところに立ちながら、ボールをもらうために僕らのところまで下がってきた。一方で、チアゴ・アルカンタラとアウベスは外に開き、相手のサイドバックを釘付けにした。そしてバルサのキーマン、セルヒオ・ブスケッツがみんなをバックアップした。こうすることで、中盤でのパスがうまく繋がったんだ」

<次ページへ続く>

【次ページ】 「ボールがなければ試合の主導権は握れない」

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