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本田圭佑、移籍破談で
いつまで続く“監獄”生活。
~CSKAにまつわる“何故”?~ 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2012/02/13 06:00

右ひざに不安を抱える本田。CLレアル戦までの復帰が当面の目標

右ひざに不安を抱える本田。CLレアル戦までの復帰が当面の目標

 ロシア人の辞書に「譲歩」という単語は存在しないのだろうか。

 イタリアの報道によれば、ラツィオは本田圭佑獲得のために1400万ユーロ(約14億円)の移籍金を用意したが、CSKAモスクワは1600万ユーロ(約16億円)という最初の提示額を一切譲らず、さらに分割払いを認めなかったため、交渉は決裂した。本田とラツィオの間では年俸等の条件面で合意済みと言われていただけに、悔やまれる結果となった。

 それにしてもCSKAは、なぜ金銭面で一切譲歩しなかったのか? クラブの全権を握るロマン・ババエフGMは、以前こう語っていた。

「私たちは本田を獲得するときに、900万ユーロ('09年12月のレートで約12億円)をフェンロに払った。その市場価値は、南アフリカW杯での活躍によって、2倍になったと考えている。だが、私たちは選手を売ることをゴールにしているチームではない。ベストプレーヤーを売ってまで、稼ごうとは思ってないんだ」

 もしかすると、ロシア人にとっては金銭的な“利益”よりも、“メンツ”を保つことの方がはるかに重要なのかもしれない。3大リーグのトップクラブが本気で獲得に乗り出した選手を、金の力には屈せず、自分たちのところに留める――。そのことにステータスを見出していると考えることもできるのだ。

「自分の力ではどうにもならないことが起きている」

 この冬、ブラジル人FWのバグネル・ラブがCSKAからフラメンゴへの移籍を果たし、その発表会見で「タフな戦いだった」と涙を流して喜んだのも決してオーバーな表現ではない。ババエフGMは「CSKAは監獄ではない」と弁明するが、そういうネガティブな印象をもたれても仕方がない振る舞いをしていると言わざるをえない。

「いろんなところで、自分の力ではどうにもならないことが起きている」

 昨年夏、ふと本田がもらした言葉が、今なお強烈に耳に残っている。

 ただし、目指していたラツィオ移籍はかなわなかったものの、CSKAに留まることは決してマイナスばかりではないだろう。

<次ページへ続く>

【次ページ】 CLのレアル戦は世界にアピールするチャンス。

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