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伊東大貴の優勝で見えた
日本ジャンプ復活の光明。
~長野五輪世代のように~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2012/02/10 06:00

伊東大貴の優勝で見えた日本ジャンプ復活の光明。~長野五輪世代のように~<Number Web> photograph by AFLO

札幌でW杯連勝を飾った伊東。現在総合首位のコフラー(右)を抑えての逆転優勝だった

 1月28、29日に札幌・大倉山シャンツェで開催されたノルディックスキー・ジャンプのワールドカップで、伊東大貴が連日にわたり優勝を遂げた。伊東にとって初のワールドカップでの勝利であり、連勝は、日本勢としては1999年の葛西紀明以来のことだ。例年、海外のトップクラスの欠場が目立つ札幌大会だが、今回はメンバーがそろった中での優勝だけに、価値がある。

 札幌での活躍にかぎらず、今シーズン、伊東をはじめ、日本男子は近年にない好成績を残してきた。それを象徴するのが、年末年始に4つの大会の総合成績で争われる「ジャンプ週間」だ。ジャンプ界では権威あるこのシリーズで、伊東が表彰台に2度上って総合6位に入り、竹内択も3位になるなど総合9位と健闘したのだ。海外のメディアからも、日本勢の好調ぶりに注目が集まったという。

 ジャンプ週間から帰国後、伊東や竹内は、好調の理由について聞かれ、ともに「技術的な部分ではこれまでと変えていません」と語っている。

日本の弱点を克服した2つの対策。

 では、何が結果につながっているのか。

 ひとつには、シーズン前の準備がある。日本の選手は追い風を苦にするという弱点がある。その対策として、空気抵抗が少ないアルペン用のスーツを着たり、大会で使用するものより短いスキー板で練習し、浮力が弱くても飛べるように心がけた。今までにない試みが、追い風や無風への対応力を増すことにつながった。

 もうひとつは、メンタル面の変化である。指導陣が、日本の低迷は過度のプレッシャーによって地力を出せないからだと分析。遠征中もコーチやスタッフが絶対に張りつめず、リラックスした雰囲気作りを心がけてきた。その効果は、竹内の次の言葉に表れている。

「以前は気負いがありましたが、余裕をもって試合に臨めるようになりました」

 チーム全体の取り組みもあって、優勝を手にした26歳の伊東は、24歳とほぼ同世代の竹内も意識してか、こう語った。

「(長野五輪で活躍した世代のように)僕たちが同じような時代を築きたいです」

 オーストリアなど強豪国とはまだ差がある。だが、長年の不振から、ようやく光明を見出した今シーズンは、2年後に迫ったソチ五輪へ向けて、復活の足がかりになったと言える。

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