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青木宣親と川崎宗則が打つ布石。
メジャー移籍新時代は始まるのか? 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byNaoya Sanuki

posted2012/01/23 10:30

青木宣親と川崎宗則が打つ布石。メジャー移籍新時代は始まるのか?<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

WBCのプレー中、イチローと言葉を交わす青木宣親。メジャーで数々の伝説を作ったイチローの後に続けるか?

 このオフにメジャー入りを目指していた日本人野手3選手の動向が決まった。

 ポスティング制度を利用した青木宣親選手は、独占交渉権を得たミルウォーキー・ブルワーズと2年契約を結び、FAからシアトル・マリナーズ入りだけを希望した川崎宗則選手はマイナー契約ながらもその夢を叶えた。しかし、青木同様ポスティング制度を利用した中島裕之選手は、独占交渉権を得たニューヨーク・ヤンキースと合意に至らず西武に残留する結果となった。

 だが、希望通りメジャー移籍を実現させた2選手にとっても、決して手放しで喜べる状況ではない。地元紙のインタビューに対しブルワーズのダグ・メルビンGMは以下のように話している。

「青木は日本で成功を収めた選手であり、我々の外野陣に厚みを増してくれるだろう。だが彼にとってアメリカでプレーする初めての機会であり、我々のチームにどのようにフィットするのかをキャンプで見極める必要がある」

 すでに報じられているように、今回の青木獲得は、このオフに薬物検査で陽性反応が発覚したと報道された主砲のライアン・ブラウンの出場停止処分に伴う補充措置である。だが、仮に現在MLBに提出されているブラウンの異議申し立てが却下され、出場停止処分が確定したとしても、メルビンGMは「(青木を代役左翼手として起用するかは)まだそれを決める段階ではない。チャンスは与えるが、まだ彼が実戦でどのようなプレーをするのかを見るまで判断できない」とあくまで慎重な発言に留まっている。

青木宣親の年俸にも見て取れる、ブルワーズの低評価。

 ブルワーズの青木に対する期待度は契約にも表れている。同じ地元紙の報道によると、いくつかのインセンティブが付帯しているようだが、ベースとなる年俸は2012年が100万ドル(約7,700万円)、そして2013年が125万ドル(約9,600万円)と、青木の2011年の年俸(推定で3億3000万円+出来高)を大幅に下回っている。ベテラン選手としてはやはり控え選手クラスの扱いだ。

 川崎に至っては、あくまでマイナー契約のためメジャー公式戦出場に必要となってくる40人枠にも入っておらず、招待選手枠でのメジャーキャンプに参加するしかない。もちろんオープン戦で首脳陣にアピールできなければ、キャンプ途中でマイナーに降格させられることもあり得るのだ。

 改めて昨今のメジャー球界における日本人選手に対する“投高打低”の評価を浮き彫りにしたものだった。

【次ページ】 ポスティングによる交渉決裂はなぜ起こるのか?

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