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米球界で未だ賛否両論。
ポスティング制度の今後。
~メジャー移籍の形はどう変わる?~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2012/01/12 06:01

米球界で未だ賛否両論。ポスティング制度の今後。~メジャー移籍の形はどう変わる?~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

青木の交渉権はブルワーズが獲得。しかし練習視察で“合格”するまで交渉は始まらない

 今オフは、ダルビッシュ有、青木宣親、中島裕之と3人の日本人選手が、ポスティング(入札)制度を利用してメジャー挑戦へと動き出した(※1月5日、中島とヤンキースとの交渉は破談に終わり、西武残留が決まった)。2001年のイチローをはじめ、入札制度で米球界へ移籍を申請した選手は過去16人。今や移籍手段の一つとして定着したものの、米側の抵抗感は依然として消えておらず、改正を訴える声も聞こえてくる。

 今回、レンジャーズはダルビッシュに対して5000万ドル(約38億円)以上の資金を投入して落札したが、近年の球界事情からすれば特例に近い。ダルビッシュの実力、25歳という年齢を含めた商品価値の高さが、レッドソックスの松坂大輔以来の高額落札につながったものの、米球団のポスティングに対するスタンスは、決して積極的とは言えない。

入札制度の新たな先例となり得る青木とブルワーズのケース。

 中島を落札した直後、ヤンキースのキャッシュマンGMは、「MLBとNPBが話し合った結果のベストの方法」と、表面上は現行制度を尊重する姿勢を示した。その一方で、ジャイアンツのサビーンGMら入札制度に反論を唱える首脳陣も少なくない。というのも、米球団は当該選手との交渉権を得るためだけに高額の入札金を支払い、さらに年俸面などの条件折衝が必要となるからだ。単純に年俸面だけで交渉できるFA選手とは、明らかに投資金額は異なるだけに、慎重を期すのも当然といえる。代理人のスコット・ボラス氏らが、選手に不利益を生むとの理由で入札制度に反対しているが、決して独善的とは解釈されていない。

 そんな状況の中、青木を落札したブルワーズは、独占交渉期間中に実戦練習を視察した上で交渉したいと持ち掛けた。落札額250万ドル(約1億9000万円)の評価はともかく、球団、選手双方の温度差を埋めるうえでも、入札制度の新たなバリエーションとして先例となり得るケースともいえる。特に、能力を持ちながらも日本で実績を残せず、米移籍を目指す選手にとって、新たな手段として真剣に検討する価値は十分にある。

 最終的には入札制度を廃止し、海外FA権取得年数を短縮することが理想だろう。だが、NBAではドラフト当日のトレードが珍しくないほど、選手の移動が激しい米国。入札制度にしても、かつての「落札=入団」の図式は、いずれ変わっていくに違いない。

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