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欧州CLのCSKA対インテル戦に見る、
強者との試合を接戦に持ち込む方法。 

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杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2010/04/03 08:00

欧州CLのCSKA対インテル戦に見る、強者との試合を接戦に持ち込む方法。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

本田圭佑は見せ場なく後半25分で交代。試合は1-0でインテルが勝利した

 試合の行方が、キックオフから数分で予想できることがある。

 下馬評の高いチームと低いチーム、言い換えれば、強者対弱者が対戦したときに、それはよく分かる。下馬評通りに落ち着くか。接戦になるか。

 チャンピオンズリーグ準々決勝第1戦。3月31日、ジュゼッペ・メアッツァで行なわれたインテル対CSKAモスクワは、まさに強者(インテル)対弱者(CSKA)の対戦だった。ブックメーカーも、準々決勝4試合のなかで、この試合が最も固い試合だと読んでいた。

 キックオフ直後から両者が、ブックメーカーの予想通り、開きのあるプレーを見せれば強者の順当勝ち。だが、開きのない展開なら接戦――。四つに組んだ展開ならCSKAに希望の光は見えてくる。そう思いながら、開始直後の数分間に目を凝らした。

 すぐに見えてきた答えは接戦だった。

 結果は1-0でインテル勝利だが、ホーム戦を戦う強者にとって、これは満足度の低い結果と言うべきだろう。開始直後に抱いたこちらの読みは、8割方当たったと言っていい。

インテルは前半、絶対有利の余裕をなくし焦りを見せた。

 ブックメーカーの予想に代表される戦前の下馬評は、選手にも感覚として染みついている。強者側の選手が、いくら自分を戒めても、本音を隠し通すことはできないのだ。70対30の下馬評が55対45になっていることを実感したとき、それはプレーに如実に反映される。実際、インテルの選手はとくに前半、かなり苦しそうに、強者らしからぬ焦りを随所に覗かせた。

 しかも、舞台はホームだ。自軍のサポーターがスタンドの9割方を占めるなかでの試合だ。スタンドはほぼ満員。ファンひとりひとりの息づかいは増幅し、スタジアムを支配する空気になる。ファンの反応は正直なので、選手は押さえ込んでいた邪念を押し殺すことが難しくなる。「こんなはずじゃなかった」の不快な思いは、いっそう増幅することになる。

ジャイアント・キリングの予感漂う典型的パターン。

 CSKAはその逆。思ったよりやれている実感があった。

 強者が抱く不快感と、弱者が抱く快感が交錯すれば、両者の差は俄然縮まる。これこそが番狂わせが起きる典型的なパターンだ。

 CSKAの立ち位置と、ワールドカップ本大会を戦う岡田ジャパンの立ち位置は似ている。

 日本の前評判は、残念ながら低い。多くのブックメーカーは、32チーム中、「後ろから数えて」の“ベスト4”だと予想する。グループリーグE組の予想では、ひとり置かれて最下位を行く。

【次ページ】 CSKAに学ぶ、日本代表がW杯で番狂わせを起こす方法。

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