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斎藤、澤村、塩見、伊志嶺……。
'10年ドラフト1位選手の○と×。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2011/12/31 08:02

斎藤、澤村、塩見、伊志嶺……。'10年ドラフト1位選手の○と×。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

オールスターゲームに出場し、好投した斎藤佑樹投手。大会スポンサーであるマツダの「スカイアクティブテクノロジー賞」を受賞し、車を一台贈られることに!

大卒ルーキーの象徴、日ハム・斎藤をどう評価すべきか。

 まずは、世代の象徴である斎藤。賛否は分かれるかもしれないが、知名度を抜きにすればまずまずの成績だったのではないだろうか。

 史上6人目となる東京六大学通算30勝、300奪三振を達成した斎藤は、その実績から、「最低でも二桁勝利」と期待されていたが6勝に留まった。しかし、防御率2点台と故障で1カ月ほど戦線離脱したことを考えれば、2けた勝利に等しい結果を残したと言ってもいいだろう。

圧倒的な数字で新人王に輝いた、巨人・澤村の強い信念。

 数字で判断すれば、ルーキーで最も力を示すことができたのは巨人の澤村拓一だった。

 新人最多の11勝。リーグ3位の防御率2.03をマークし、セ・リーグの新人では1967年の阪神・江夏豊以来となる200投球回数も達成。文句なしの新人王に輝いた。

 思えば、澤村のこの結果は必然だったのかもしれない。それは、彼の言葉が物語っている。「自分は何を求められて巨人に指名されたのか? 初心に戻って考えてみると、やっぱり自分が出さなければならないのはストレートで押す姿勢。この世界、勝ってなんぼなんで、スカウトの方の評価を結果で示さないと申し訳ない。だから、今日は今日、明日は明日で一生懸命に頑張るだけです」

 このような強い信念があったからこそ、勝ち星がつかなかった夏場を乗り切ることができ、好成績に結びつけることができたのだ。

楽天・塩見、広島・福井もルーキーとして、上々の出来。

 澤村に迫る成績を収めたのが、楽天の塩見貴洋だ。

 ドラフト会議で星野仙一監督から、「左なら塩見と決めていた」と言わしめた左腕だが、キャンプは二軍スタート。プロデビューも開幕から約1カ月後の5月だった。

 それでも彼は、大胆な目標を掲げていた。

「当初の目標だった開幕一軍は達成できなかったので、新人王を目指したいです。もしくは10勝以上ですかね」

 最終的に、このいずれも達成することはできなかったが先発として9勝。規定投球回数を投げ防御率は2.85と、有言実行に近い数字を残した。なにより、なかなか固まらなかった左の先発の座に塩見が就いたことが、チームにとって大きな収穫だった。

 先発不足のチーム事情という点では、広島の福井優也も最低限の仕事をしたと言っていい。

 8勝10敗、防御率4.12と数字としては良くないが、先発として27試合に登板するなど1年間チームの戦力として機能したことは評価できるだろう。

【次ページ】 社会人出身のプライドを見せた、阪神・榎田。

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