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勝点3差に3チームが並び立つ大混戦。
インテル5連覇の可能性は? 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2010/04/02 10:30

勝点3差に3チームが並び立つ大混戦。インテル5連覇の可能性は?<Number Web> photograph by Getty Images

モウリーニョの“手錠パフォーマンス”はイタリア中で物議をかもした

 さあ、手錠をかけるがいい。それでも、私のチームは負けはしない。

 口を真一文字に結んだモウリーニョが、両手首を交差させるジェスチャーで、挑発的に判定への抗議姿勢を見せた。25節のサンプドリア戦、前半で2人のセンターバックを退場させられた指揮官だったが、9人のインテルは劣勢どころか、勝利にあと一歩まで迫る値千金のドロー。翌日の地元紙には“Incrollabile(=難攻不落)”の見出しが躍った。後半戦に入ってからのインテルの戦いぶりは、まさに“不沈艦”と呼ぶにふさわしい。

 4連覇中のチームに安定感があるのは当たり前だが、ローマの猛追を受け、一時はミランに勝ち点1差まで迫られた。それでも終盤戦に向けてインテルの大崩れが想像できないのは、近年まれに見るほどの成功を収めた補強と、やはりモウリーニョの存在が大きい。

新戦力にも浸透したモウリーニョのコンセプト。

 昨夏獲得組の5人(FWエトー、ミリート、MFスナイデル、チアゴ・モッタ、CBルシオ)は、前半戦からスタメンに完全定着し、特に攻撃の全権を委ねられたスナイデルは、キャリア最高の働きを見せている。

 1月には即戦力FWパンデフが加わった。それでも、現在のチームはもう何年も一緒にプレーしているような印象を見る者に与える。わずか8カ月前までイブラヒモビッチがいたことがにわかには信じられないほどだ。モウリーニョの求める規律や献身的プレーが、チームのベースとして本格的に根づいている証だろう。

 完勝を収めたチャンピオンズ・リーグでの対チェルシー戦2試合でも顕著だったが、全員がチームプレーに徹している。エトーは、スタンフォード・ブリッジでの第2戦で決勝点を叩き込んだ後、「インテルには一流選手が揃っているが、一人の選手がゲームを決定するわけじゃない」と驕ることなく語った。

監督の出場停止処分までチームの求心力を高める契機に。

 モウリーニョの毒舌は健在だ。CLのためにミランを優遇したリーグの日程変更を引き合いに出し、「この国にはインテルが独走することを快く思わない面々がおられるようだ」とチクリ。さらにFWデル・ピエーロ(ユベントス)のダイブ行為を例に挙げ、相次ぐ誤審問題に対し決して軽くはない一石を投じてきた。

 昨年末までに2試合の出場停止処分を受けていたモウリーニョは、サンプ戦での“手錠ジェスチャー”によって、新たにリーグや協会の怒りを買い、懲罰的な3戦出場停止処分を受けた。

 バレージ代理監督に率いられたインテルは、28節カターニャ戦でまさかの3失点負け。それでも、出場停止処分期間中、モウリーニョは「私がプレーするわけでも、ゴールするわけでもない。チームがうまく機能さえしていれば、監督は必要ない」と平然と語っていた。シーズン終盤に自ら指揮を執れないピンチを、選手一人ひとりの自覚を再び呼び起こし、チーム全体の求心力を高めるための機会と捉えたのではないか。

 CLで再び指揮に戻ったモウリーニョは不穏な空気を断つべく、チェルシー戦で完璧な采配を見せた。8強進出を決めたことで、クラブも選手も「今回こそは」の思いを新たに強くした。インテルのモチベーションは、現在ピークに達しようとしている。

 セリエA5連覇にむけて、仮にチームの一体感を乱す不安材料があるとすれば、19歳の問題児FWバロテッリの存在か。すでに通算26ゴールを上げ、クラブの次世代を担う才能だが、幼少時からミラン・ファンであることを公言。試合での途中交代時にふて腐れ、モウリーニョへの反抗姿勢を隠さない。まだプロとしての自覚に欠けるバロテッリの扱いは、指揮官にとっても慎重を要する。

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