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「マクベス」をリングで熱演。
大日本、何でもありの真骨頂。
~地域密着プロレスの奮闘~ 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

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photograph byBJW

posted2012/01/02 08:00

「マクベス」をリングで熱演。大日本、何でもありの真骨頂。~地域密着プロレスの奮闘~<Number Web> photograph by BJW

主役の関本マクベスと夫人役の李日韓。シェイクスピア・シリーズは今回、最終章を迎えた

 感服。よくぞ、あんなに長いセリフを覚えたもんだ。

 グレート小鹿率いる“何でもあり”の大日本プロレスが、11月29、30日の2日間、横浜赤レンガ倉庫1号館ホールで、シェイクスピア四大悲劇のひとつ「マクベス」に挑戦。またまた業界を驚かせた。

 舞台衣装を身にまとったレスラーが台本に沿ったセリフや歌などを披露しながら、物語世界とプロレスを同時進行させていくという、この野心的な試み。初日はデスマッチ・バージョンでエースの伊東竜二が、2日目はストロング・スタイルで関本大介がマクベス役を演じ、レフェリーの李日韓がマクベス夫人となって、歌と踊りをリード。選手全員がまさしく体当たりの演技で観客を大いに沸かせた。

 シェイクスピア劇をテーマにしたプロレス興行は、'08年の「リア王」、'09年の「ロミオとジュリエット」に続く3度目となる。「リア王」ではソロバイオリンの松田麻由美、「ロミオとジュリエット」ではボーカルの久保田安紀と、プロ演奏家によって演出効果をあげてきたが、今回も大日本のテーマ曲を作曲した小川類がピアノを担当。プロレス・オペラの雰囲気を存分に盛り上げていた。

震災に襲われた街の復興とプロレスの復興を重ね合わせて。

 収容人員300強、会場は狭い。だが客席はリングサイドとヒナ壇になっているため、非常に見やすく、臨場感がたっぷり伝わってくる。筆者は「関本マクベス」の2日目を観劇(?)したが、リングサイドで乱戦に巻き込まれ、背広はパウダーだらけ、頭髪まで白くなってしまった。しかし、逃げまどうスリルも料金のうちと、足元が水浸しになっても、怒り出すファンは一人もいなかった。

 筋立ては、横浜が大震災に遭遇、瓦礫の海から市民が立ち上がる姿を、プロレスの復興に重ね合わせたもので、テーマは明確。「大日本プロレスを世界一に」。ストロング・マクベスに扮した関本の大真面目な表情が、妙におかしかった。

 横浜市都筑区に本拠を構える大日本は、'95年3月に旗揚げ。2010年、創立15周年記念興行を打ち、インディー系の軸として頑張っている。

「2011年は、2010年より20試合多い、102試合を行ないました。2012年はもっと増やしたい」と語る登坂栄児統括部長。地域密着型プロレスは元気だ。小鹿さん、楽しいプロレス、いつもごっつあん!!

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