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スペインで出版が相次ぐ
一風変わった「サッカー本」。
~ベティス監督からピケの父親まで~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byShin Toyofuku

posted2011/12/18 08:00

スペインで出版が相次ぐ一風変わった「サッカー本」。~ベティス監督からピケの父親まで~<Number Web> photograph by Shin Toyofuku

メル監督(左)とピケの父親が執筆した作品。2冊ともその本格的な内容が滲み出た表紙に

 日本ではサッカー選手の本が一大ブームとなっているが、スペインでは一風変わった「サッカー本」が次々と出版され、話題を呼んでいる。

 まずはベティスの監督ペペ・メルが書いた『El Mentiroso』だ。内容はあるアンティーク収集家が盗まれた古文書とかかわったことで、次々と危機にさらされるという歴史ミステリー。バチカンも登場するため、どことなく『ダ・ヴィンチ・コード』の匂いも漂うが、版元によると「内容は全く異なる」そうだ。

 メルは「練習を終え、家に帰ってから小説を書くのが楽しみ」と執筆への熱意を語っている。彼はラージョ・バジェカーノとベティスの監督を務めながら4年をかけ同作を書き上げたが、今季出版された時期には両チームともに予想外の躍進を見せた。ファンの間ではこの本が幸運を呼んだのではとも言われ、版元によると売り上げも好調だという。

 11月にはフェルナンド・トーレスが自伝本『Number Nine』を出版したが、こちらは「そんなことよりゴールを決めろ」と批判も多かった。

大の読書家グアルディオラの小説執筆はあるのか?

 そんな人気ストライカーの本よりも話題となったのが、同時期に発売されたジェラール・ピケの父親ジョアン・ピケのデビュー小説『DOS VIDAS』だ。

 バルセロナに住む妻子持ちのエンジニアが出張で米国を訪れ、事件に巻き込まれて記憶を失う。目覚めた彼は病室である女性と出会い、物語は進んでいく。

 こちらはプロモーションも凄かった。発表会にはピケは当然、恋人のシャキーラにプジョルとセスクも出席。バルセロナ中心部の本屋は大騒ぎとなった。

 執筆のきっかけは、以前この欄でも紹介したピケの自伝本『Viatge d'anada itornada』だという。ジョアンは「昔から執筆の夢はあったが、息子の出版で決意した」と語っている。第1稿を手にしたピケは朝から晩まで読みふけり、父親に出版を強く勧めたそうだ。

 欧州ではサッカー選手の本離れが叫ばれて久しいが、メルやピケの父親の成功例から、今後は監督や選手の周囲がペンをとるケースも増えるかもしれない。

 ちなみにグアルディオラも大の読書家で、彼の監督室にはいつも多くの本が置いてある。個人的には彼が書く小説を、ぜひ一度読んでみたいのだが。

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