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川崎宗則の後釜を狙う
20歳の若鷹の“誓い”。
~ホークス3年目・今宮健太~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/12/13 06:01

秋山監督の打撃指導を受ける今宮。来シーズンこそはショートのレギュラー奪取を目指す

秋山監督の打撃指導を受ける今宮。来シーズンこそはショートのレギュラー奪取を目指す

 日本シリーズを制したソフトバンクは、台湾で行なわれたアジアシリーズで決勝まで進んだものの、サムスンに敗れ準優勝に終わった。投手では杉内俊哉、和田毅、野手では小久保裕紀、松中信彦、多村仁志らが参加しなかった今大会。これまで出番のなかった今宮健太ら若手選手たちがイキイキとしたプレーを見せ、来季へ向けてアピールしていた。

 松中と小久保のベテラン勢に陰りが見えてきた段階で、多村や内川聖一を獲得したソフトバンクは、「内川たちが元気なここ2、3年を、有望な若手育成の機会にしたい」(王貞治会長)という構想を描いている。'09年ドラフト1位の今宮もその一人だ。

 大分・明豊高時代は小柄な体で62本塁打を放ち、投手としては154kmの快速球を誇った。3年の春と夏の甲子園に出場したが、いずれも菊池雄星の花巻東高に敗れている。プロ入り後は打者一本に専念、今季は18試合に出場し無安打に終わった。同期入団の西武・菊池がプロ初勝利を挙げるのを見て、「必ず挽回する。いつまでも負け犬で終わりたくない」と誓う姿が印象的だった。

プロ入り後、アベレージヒッターへの脱皮をはかった今宮。

 長距離打者がプロ入りすると、パワーの差に悩むことが多いが、今宮の1年目がまさにそうだった。そして「プロの世界は桁外れのものがないと通用しない。自分はスピードと泥臭さで勝負したい」と自覚して臨んだ今春の一軍キャンプでは、細かいプレーを徹底的に叩き込まれた。今ではアベレージヒッターを目指し、足を生かした繋ぎ役に徹している。この取り組みが秋山幸二監督の目に止まり、FA移籍が予想される川崎宗則の後継者第一候補として指名された。

 外野のレギュラー陣が固定されているソフトバンクでは、40歳の小久保が守る一塁と川崎のショートが、若手にとって格好の競争の場になる。そういうポジションに外部から選手を補強してしまえば、チーム内のモチベーションが下がる例が多いが、秋山監督は「無理してトレードで獲るよりも、チーム内の競争で育てたい」というタイプ。事実、アジアシリーズの豪州代表パース戦では、川崎が抜けたことを想定し、本多雄一、今宮の1・2番コンビを、しれっと試している。今宮は期待に応えて右前安打。20歳の若鷹の成長が、V3の鍵を握っている。

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