詳説日本野球研究BACK NUMBER

明治神宮大会を制した光星学院が、
センバツで東北に希望をもたらす。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/12/03 08:01

明治神宮大会を制した光星学院が、センバツで東北に希望をもたらす。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

今夏の甲子園で準優勝に輝いた光星学院が、その後発覚した不祥事を乗り越え、悲願の日本一。来春センバツの「神宮枠」を初めて東北地区にもたらした

過去にも例がある、“人為的・作為的”な選考。

 石巻の震災による死者・行方不明者は3958人('11年9月6日現在)。壊滅的被害を受けたこの港町に活気を取り戻すためなら、人為的・作為的と批判されようが石巻工を出場させたいと思わないだろうか。実は半世紀前、日本高等学校野球連盟(現・高野連。当時は全国高等学校野球連盟)は沖縄に対して人為的・作為的な選考を行っている。

「沖縄を米軍の施政下に置いて、ほったらかしにしてはいけない」という佐伯達夫・高野連副会長('67年に会長就任)のツルの一声で、代表が1県1校になる以前の'58年夏に首里高が、'60年春には那覇高が出場校に選ばれている。政治が満足な救済をしないのなら、せめて高校野球が手を差し伸べようという状況は当時も現在も同じで、ファンにも支持されると思う。

21世紀枠はどこの高校に!? 来春の選抜出場校大予想。

 やや時期尚早だが、選抜出場校を予想してみよう。

◇北海道  (1)=北照 
◇東北    (2)=光星学院、聖光学院 
◇関東    (5)=浦和学院、作新学院、健大高崎、高崎、横浜 
◇東京    (1)=関東一 
◇東海    (2)=愛工大名電、三重 
◇北信越  (2)=敦賀気比、地球環境 
◇近畿    (6)=智弁学園、天理、履正社、近江、鳥羽、大阪桐蔭 
◇中国    (3)=鳥取城北、倉敷商、早鞆 
◇四国    (2)=鳴門、高知 
◇九州    (4)=神村学園、九州学院、別府青山、創成館
◇神宮枠  (1)=花巻東 
◇21世紀枠(3)=石巻工、湘南学院、那賀

 21世紀枠の湘南学院(神奈川)と那賀(和歌山)は深い理由がない。湘南学院は甲子園出場が史上1回もない横須賀市の学校、那賀は学力向上フロンティアハイスクール指定校、というのが主な理由である。高崎を21世紀枠で選出し、東京に帝京を加えるウルトラCも考えられる。この場合、湘南学院が外れる。

神宮大会優勝の光星学院は主砲ふたりが獅子奮迅の活躍。

 話がプレーから遠くなった。ここからは明治神宮大会・高校の部で上位校がどのような戦い方をしたのか振り返ってみよう。

 優勝した光星学院は、3番田村龍弘(捕手)、4番北條史也(遊撃手)が獅子奮迅の働きをした。初戦の神村学園戦は6対6のまま延長戦に突入、10回以降は1死満塁の局面から試合を行うタイブレークで勝敗が争われた。

 2点を追う10回裏、田村の遊撃エラーで1点差に迫り、さらに1死満塁の場面では北條が満塁逆転サヨナラ本塁打を放ち試合を一挙に決めた。

 8回コールド(7対0)で決まった準決勝の鳥取城北戦も、1回裏の先制打は田村が放ったライト線へのタイムリーだった。

 決勝の愛工大名電戦はさらに2人の働きが際立った。2点リードされた3回裏には田村の二塁打で1点差に迫り、2点差に引き離された5回裏には田村、北條の連続四球などで1点差に迫り、2対5で試合が決まったと思われた7回裏には田村の二塁打、北條の右前打で無死一、三塁のチャンスを作ると、5番以降が続いて同点に追いつくという具合。そして同点の8回裏、北條が決勝の三塁打を放って愛工大名電を突き放し、初の秋の王座に輝いた。

【次ページ】 愛工大名電で光った、伝統を受け継ぐバントの名手。

BACK 1 2 3 NEXT
田村龍弘
北條史也
濱田達郎
中村雄太朗
光星学院高校
花巻東高校
愛工大名電高校
聖光学院高校

高校野球の前後の記事

ページトップ