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黒田博樹の成功と松坂大輔の蹉跌。
ダルビッシュが2人から学ぶべきもの。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2011/11/29 10:30

黒田博樹の成功と松坂大輔の蹉跌。ダルビッシュが2人から学ぶべきもの。<Number Web> photograph by Getty Images

黒田博樹は今シーズン、32試合に登板し13勝16敗、防御率3.07とチームに貢献。FAとなっており、残留か移籍かその動向が注目される。松坂大輔は右ひじの手術から順調な回復を見せており、来季復帰に向けリハビリに励んでいる

 東日本大震災でシーズン開幕がずれ込んだNPBも日本シリーズを終え、ようやくストーブリーグに突入した。

 すでに岩隈久志投手がFAによるメジャー移籍を、さらに青木宣親選手がポスティングによるメジャー移籍を表明している。さらに報道を見る限りでは、和田毅投手、川崎宗則選手、中島裕之選手などのメジャー移籍も囁かれている。とりあえず日米双方がストーブリーグに突入したことで、両国間の契約交渉が過熱化していくことになるが、いずれにせよこのオフは少なくない日本人選手がメジャー移籍を実現しそうなだけに、メジャー取材を続ける身にとっては楽しみな冬になった。

MLBの複数球団から秋波を送られるダルビッシュ有。

 そんな状況下、日米両国から最も注目を集めているのが、やはりダルビッシュ有投手だろう。今シーズン現場で取材をしていても球団関係者、メディア、選手に至るまで、幾度となくダルビッシュに関する質問を受けた。

 間違いなくメジャー球界で、現在最も関心を集める日本人選手だと断言できる。特にシーズン終盤のある日、知り合いの某球団幹部と話をした際、隠すことなくダルビッシュがメジャー移籍を表明したら獲得に乗り出す資金を準備している、と強烈なラブコールを聞かされ驚いた。

 もちろんダルビッシュがメジャー移籍を決めたなら、壮絶な獲得競争が繰り広げられるのは間違いない。

 だがその一方で、現在のメジャー球界では「日本の実績がそのままメジャーでは反映されない」というのが定説となっている。昨今の米国内の経済不振も考慮すると、果たしてどれ程の金額(入札金+年俸総額)が動くことになるのか、想像もつかない。ポスティング制度自体には賛成していないが、今回ばかりは各チームの水面下での探り合いに興味を抱かずにはいられない。

 シーズン中に受けたダルビッシュ関連の質問は実に明快だ。「ダルビッシュはどれほど凄いのか?」「メジャーで通用すると思うか?」「球団に関係なくメジャーに来る意志があるのか?」といったものだった。

【次ページ】 ダルビッシュの実力が傑出しているのは確かだが……。

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