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NHK杯の日本人選手たちを徹底検証。
浅田真央がガラっと変わって成長中! 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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photograph byGetty Images

posted2011/11/14 13:50

NHK杯の日本人選手たちを徹底検証。浅田真央がガラっと変わって成長中!<Number Web> photograph by Getty Images

「(シーズンの)初戦から落ち着いて滑ることができたのは本当に久しぶりです」と、大会終了後、明るく答えた浅田真央。国内外のメディアからは、その精神面での成長ぶりで高い評価の声が上がった

 よし、よくやった!

 と思わずガッツポーズを取りたくなるような日本選手の活躍ぶりだった。NHK杯で男女シングルそれぞれ1位2位を独占し、ペアでも高橋成美&マービン・トラン組が2位に入賞。GPシリーズ4試合目にして、ようやく「君が代」を聞くことができた。だが順位よりさらに喜ばしかったのは、それぞれの内容に大きな収穫があったことだ。

 スパイラルを終えて最後のポーズを取ったとき、浅田真央の顔にはこぼれるような笑みが浮かんでいた。こんな笑顔を、どれだけのファンが待ち焦がれていたことだろう。

「今できることは、100%出せました」

 演技終了後、浅田はそうコメントした。

 フリーで1位となり、総合では僅差で鈴木明子に続く2位。2シーズンぶりにGP大会の表彰台の上に返り咲いた。

 SPでのアクセルの失敗後、佐藤信夫コーチのアドバイスに従って不調だった3アクセルをフリーでは跳ばない決意をした。男子のSPで4回転なしでも高い得点が出ていたことも、理由の一つだったという。

 だがこの日のフリー演技が本当にすばらしかった理由は、大きなミスなくまとめたからではない。過去に3アクセルに集中していた間に失っていたものを、取り戻しつつあることを見せてくれたためである。

浅田真央の進んできた道は、決して間違ってはいなかった!!

 リストの「愛の夢」のメロディにのって、浅田は5種類の3回転ジャンプを跳んだ。

 ルッツには不正エッジマークがつけられたものの、このジャンプに苦しんできた過去数年間の中で、もっともきれいな着氷だった。3サルコウは、彼女がシニアになってから、ほとんどの試合で避けてきたジャンプである。そして2アクセルのあとにつけた3トウループもきれいに回りきった。コンビネーションの2個目のジャンプで3回転が成功と認定されたのは、2008年以来3年ぶりのことだ。5コンポーネンツも、ひさしぶりに8点台が戻ってきた。

 このバランスのとれたプログラムこそ、新しい浅田真央を象徴するのに相応しい。

 浅田が、スケートの基礎から直していきたいと自ら望んで佐藤信夫コーチと再スタートをきったのは、バンクーバー五輪シーズン終了後のこと。再びバランスを取り戻し、選手としてのさらなる膨らみを育てていくための決断だった。この日のフリー「愛の夢」は、彼女の進んできた道が間違っていなかったことを雄弁に物語っていた。

 だからといって、3アクセルに対するこだわりを捨てたわけではない。

「次につながるいい試合でした。ロシア杯では、3アクセルを跳びたいです」

 もちろん、彼女がこれで3アクセルを調整してくれば、6種類の3回転ジャンプを試合で成功させることも可能となった。現在の女子でそんなことが可能なのは、浅田真央だけである。ひと回り大きな選手に成長して復帰した浅田の次の試合を、楽しみに見守りたい。

【次ページ】 鈴木明子が世界のトップクラスとして認められた理由。

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