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UFC白星デビューを飾った
日沖発の“胸を打つひと言”。
~「ジャパニーズMMAは死んでない」~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph bySusumu Nagao

posted2011/11/12 08:00

UFC白星デビューを飾った日沖発の“胸を打つひと言”。~「ジャパニーズMMAは死んでない」~<Number Web> photograph by Susumu Nagao

185cmの長身を生かしたループに苦戦した日沖は「自分の技術も改善していく」と語った

「ヒオキの調子はどう?」

 試合前、会場でファンから質問を受けた。10月29日、アメリカ・ラスベガスで開催されたUFC137。この日がUFCデビューとなる日沖発に対する現地の関心度は想像以上に高かった。実力も折り紙付き。ギャンブルの街であるラスベガスでUFCは賭けの対象になっているが、有料放送枠となる後半戦の中で日沖の倍率は最も低かった。それだけ彼の勝利は固いものだと思われていたのだ。

 打撃、テイクダウン、グラウンドワークが別個に存在するのではなく、まるで水が流れるかのように連動している日沖独特の試合運びにはUFC首脳も大きな期待を寄せていたのだろう。案の定、日沖は判定でジョージ・ループを下した。

 もっとも、スコアは2-1。3R、2度も簡単にテイクダウンを奪われ、防戦一方となってしまった印象が強かったせいか、レフェリーが日沖の右手を上げた瞬間、場内では歓声と罵声が激しく交錯した。だが2名のジャッジは1、2Rにテイクダウンを奪ったうえで有利なポジションを保ち続けた日沖のリングゼネラルシップを支持したのだ。試合直後、日沖は勝利の確信はなかったと振り返った。

試合後の質疑応答も、時につまりながらも全て英語でやりとり。

「2Rはとったと思ったけど、1、3Rをとられての負けも覚悟しました。勝ってホッとした部分もあるけど、8割は反省。とりあえず負けないでよかった」

 UFCのハードルは高い。結局1勝も挙げられず、リリースされる輩も多い。負けないで良かったという台詞は偽らざる本音だろう。試合後、金網に囲まれた八角形の舞台で日沖はリポーターの質問に、時にはつまりながら英語で答えた。中でも次のひと言は筆者の胸を打った。

「ジャパニーズMMAは死んでいない」

 普段は感情を表に出さない日沖の意地を見た気がした。

 その後、舞台裏での4件の質疑応答も日沖は全て英語でやりとりした。5年前、初めて海外(カナダ)で試合を行なった時に英語で受け答えできないデメリットを痛感。以来、英会話を勉強し続けているのだという。その光景を目の当たりにしたアメリカのスポーツ事情に詳しい日本人通訳は喜んだ。

「頑張って英語を喋って溶け込もうとする外国人選手をアメリカは喜んで受け入れる。こっちでも絶対人気が出ますね」

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