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村田諒太の快挙で高まる
五輪メダル獲得の期待。
~アマチュアボクシング界の星~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byAFLO

posted2011/11/09 06:00

村田諒太の快挙で高まる五輪メダル獲得の期待。~アマチュアボクシング界の星~<Number Web> photograph by AFLO

奈良出身の25歳。南京都高、東洋大でトップ選手として活躍し、全日本選手権では4度優勝

 アマチュアボクシングにこんな日本のヒーロー出現はいつ以来だろう。10月8日までアゼルバイジャンのバクーで開催された世界選手権大会のミドル級で、村田諒太が銀メダルとロンドン五輪出場権を同時に獲得した。2年に1度開催のこの大会で日本人選手のメダルはこれが史上3人目、準優勝は最高位である。

 決してまぐれではない。くじ運に恵まれず、決勝を含め7度も強豪と戦わなくてはならなかった。最後はウクライナのエフゲニー・ヒトロフに22-24の僅差ポイント負けだったが、これまで予選で姿を消す日本人選手が大半だったのだから、今回の村田の銀獲得は大変な快挙である。重量級のミドル級であることを考慮すれば、もっと脚光が当てられていい。

 圧巻は2回戦で、ウズベキスタンの世界王者アボス・アトエフとの一戦。大会3連覇を狙う相手は、村田にとっても初めて対戦する類の強豪だった。

 本人はこう表現する。「戦場に立った経験はないけれど、マービン・ハグラーがトミー・ハーンズと対戦した時“銃弾の嵐の中を進むようだった”と言った。同感でした」と。しかし果敢に打ち合い、3回の連打で世界王者に2度カウントを聞かせてRSC勝ち。この“番狂わせ”は大きな反響を呼び、一転して村田に注目が集まった。

'68年メキシコ五輪以来のメダルを日本にもたらすか?

 村田のボクシングのウリは「馬力とスタミナ」と本人は言うが、111勝92KO・RSC17敗の戦績が示す通りの強打も魅力的だ。ガードを固めて相手にプレッシャーをかけながら前に出て、182cmの長身から多彩で正確なブローを放つ。コーチ陣も「一発当てれば誰でも倒せる」と村田に囁き続けて暗示をかけ、実際、世界王者を倒して自信を強めたという。

 現在は母校・東洋大学で職員を務めながら、コーチとして後輩を指導する身。これも最近の心身の充実につながっているとは自他ともに認めるところだ。

 今後の目標は当然ロンドン五輪。日本人ボクサーの五輪メダリストは歴代わずか3人で、'68年メキシコ大会銅メダルの森岡栄治を最後に40年以上も出ていないから、周囲の期待も今後いっそう高まるにちがいない。だが村田は決して浮ついたところがなく、「今のままでは本番で勝てるわけがない。これから皆強くなるから、自分ももっと向上していかないと」と自戒を込めて語っている。

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