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CSの1stステージ、全4チームを分析。
鍵となる投手力にどう差が出るか? 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2011/10/29 08:02

CSの1stステージ、全4チームを分析。鍵となる投手力にどう差が出るか?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

シーズン開幕投手の東野峻の復活に期待しているという原辰徳監督。東野に対しては「必死にもがいている。まぁまぁじゃないでしょうか」とコメントしているが……

 シーズン3位からの日本一という、「史上最大の下剋上」を完遂させた昨年のロッテは、西武とのクライマックスシリーズ(以下CS)ファーストステージで2戦連続の延長戦を制して勢いに乗った。

 しかし、勢いで勝てるほど日本一への第一関門は甘くはない。

 わずか3試合の短期決戦。ここでは、明確な戦い方が勝敗を大きく左右する。

 だからといって、打線のテコ入れは危険性を孕んでいる。機能すれば効果は大きいが、的が外れてしまえば攻撃力は大幅に低下する。なにより、今季は統一球の導入により全チームの得点力が落ちているのだ。

 そうなると、勝利を大きく手繰り寄せられる要素は投手力となる。これは、両リーグの共通項だ。

巨人の強みは、臨機応変に対応できる投手力にあり。

 セ・リーグから言えば、両チームの対戦防御率は、シーズン2位のヤクルトが3.13、3位の巨人が3.18。数字上ではほぼ互角だが、どちらかといえば巨人のほうに分がある。

 シーズンでは8勝12敗4分と負け越してはいるが、ヤクルトは由規の戦線離脱に村中恭兵も故障が完治していないなど、投手の頭数に不安を抱えている。

 しかし、それはあくまで一因。巨人有利の最たる要因は、臨機応変な投手起用ができることだ。

 全日程終了後、原辰徳監督は「(ヤクルトとは今季)もう24試合も戦っているわけですから。データはたくさん伝えてあります」と自信を窺わせたが、昨年の2位・阪神とのファーストステージでの成果が、この言葉に表れていると言えなくもない。

 第1戦は能見篤史から渡辺亮、久保田智之。第2戦は久保康友、久保田智之、藤川球児とシーズン同様の盤石リレーで臨んだ阪神に対し、巨人は先発のゴンザレス、グライシンガーを中継ぎで起用し、抑えにはクルーンに代わり山口鉄也を抜擢。100%機能したと断言はできなかったものの、総力戦で2戦とも接戦を制することができた。 

 今年、初戦の先発は、スポーツ紙などの報道にあるように、ルーキーの澤村拓一の可能性が高い。しかし、2戦目は左のエース・内海哲也、東野峻のどちらを投入してくるかについて、指揮官はまだ明言していない。一戦必勝態勢を敷くのであれば、西村健太朗、ゴンザレスなどの先発陣を、中盤まで短いイニングで繋ぐ可能性も十分に考えられる。

「必要なのは実力至上主義です。結果を出せる選手を起用し、そうでないものは起用しない。そこをはっきりとさせなければ、チームとしての和は成り立ちません」

 今年のチームスローガン「結束」について、指揮官はそう話してくれたことがある。昨年同様、「CSで結果を残せる選手」を積極的に起用してくることは間違いない。

【次ページ】 「先発、中継ぎ問わず、『連投してくれ』と」小川監督。

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