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「400万人のスタジアム」
王国NZから学ぶべきこと。
~ラグビーW杯日本開催に向けて~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byShinsuke Ida

posted2011/10/20 06:00

「400万人のスタジアム」 王国NZから学ぶべきこと。~ラグビーW杯日本開催に向けて~<Number Web> photograph by Shinsuke Ida

オークランド中心部にあるボール型パビリオン。W杯関連グッズやNZの特産品などを展示

「この先120km、ガソリンスタンドなし」という看板を過ぎて1時間。急斜面を切り開いた草地で羊が草を食む。ただの牧場だと思っていた草原に、気がつくとゴールポストが建っている。民家の屋根にはデカデカと「GO! ALLBLACKS!」の文字が躍る。

 民家の門扉に、ショッピングセンターの屋上にはためくのは国旗よりも、黒地にシルバー・ファーン(銀のシダ)のオールブラックス応援旗が多数派。高速道路を疾走するクルマも、窓にはオールブラックス応援旗がお約束だ。

 街中はもっと過剰だ。オークランドの中心街クイーンズワーフには巨大ラグビーボール型のパビリオンと、大型パブリックビュースペースが設置され、連日、膨大な量のビールが消費された。ビルの壁にはオールブラックスのスター選手の巨大広告が貼り出され、商店街には選手の似顔絵、雑誌や新聞の切り抜き等々、手作りの応援グッズがズラリ。スーパーマーケットには、ミネラルウォーター、制汗剤等々雑多なオフィシャル商品が並び、さらには商標権の要らない「黒」「ラグビー」「NZ」を巧みに組み合わせた便乗商品も……。

W杯成功に向けた官民一体のラグビー熱とホスピタリティ。

 官も民も、都市も地方も、まさしく国中がラグビー漬け。「観客400万人のスタジアム」という、大会のキャッチフレーズは本当だった。「悔しくて」と口を揃えたのは、日本代表がトンガ戦前の合宿を張ったケリケリの高校に日本から留学している丸山胡桃さんと江原有紀さんだった。日本がオールブラックスに7対83で大敗した翌日、学校で悔しがっていると、周りから返ってきた反応は「前回の17対145よりは進歩しているよ」という慰めだった。「余計に悔しい(笑)。ホントに、誰でもそのスコアを知ってるんですよ! '95年なんて、みんな生まれたばかりの頃の出来事なのに」(丸山さん)

 NZのような小国に、W杯単独開催は可能なのか? 大会前にはそんな声も聞かれたが、プール戦の合計観客数は約107万人。約170万人に達した前回フランス大会に数字では及ばないが、W杯成功に向けた官民一体のラグビー熱とホスピタリティは、前回よりも強く感じた。

 8年後のW杯開催に向け、日本が王国から学ぶことは、ピッチ外でも多そうだ。

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