自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER

あの頃、日本は元気だった。
新橋・虎ノ門・浜松町は昭和の香り。 

text by

疋田智

疋田智Satoshi Hikita

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photograph bySatoshi Hikita

posted2010/03/19 06:00

あの頃、日本は元気だった。新橋・虎ノ門・浜松町は昭和の香り。<Number Web> photograph by Satoshi Hikita

 こんにちは、初めまして。自転車ツーキニストの疋田智(ひきたさとし)と申します。「自転車ツーキニスト」というのは、毎日会社までの行き帰りを自転車で通勤してる人、というような意味合いで、ここ昨今の自転車ブームの中、かなり増えたと思うのだ。特に都心の自転車ツーキニストは急増した。

 というわけで、その中の一人、人呼んで「ツーキニスト疋田」なんだけど、ただし「自転車好きだけど、ヘタレ」というのが基本的な私のスタンスでありまして、まったく「アスリート」でない。ただひたすら日々の街乗りのユースに自転車を使うだけ。ま、ママチャリ移動との違いは、その移動距離が多少長いかな、ということだ。

街乗りに最適。お手軽、身軽な折りたたみ自転車。

 とりあえず日々の移動手段はほぼ100%自転車。このところ乗ってる自転車は、フォールディングバイク(折りたたみ自転車)ばかりだったりする。ロードバイクやMTBのようなハードスポーツ自転車ではない。こういうところが、これまた私の非アスリート体質を物語っているともいえるが、このフォールディングバイク、いったい何がいいって、雨が降ったら折りたたんで電車に乗っちゃえるところがいいのだ。帰りにちょっと一杯となったら、これまた折りたたんで電車(またはタクシー)に乗っちゃう。疲れたら……(以下略)と、まことにお手軽、まことに身軽な自転車ライフが満喫できるのが、このフォールディングバイクならではというわけ。

 そういう自転車を使って、通勤しつつ、都心を巡りつつ、行き当たりばったり東京の色々な風景を見ていこうというのが、本連載となる予定。

 と、まあ、それだけの話ではあるんだけど、自転車で巡ると、その地べたの視線、どこでも手軽に入り込めるという気軽さから、おやおや、今まで気づかなかった東京都心の様々な表情が見えてくるぞ。

ネクタイを鉢巻きにした植木等が叫んでる街、新橋。

 ということで、初回はおやじの街、新橋だ。

 新橋というのは不思議な街であって、北に日本一の高級商店街・銀座があり、東に最新のインテリジェントビル群・汐留があり(電通・共同通信・日本テレビのマスメディア大手3社の本社もここだ)、西には官庁の総本山・霞ヶ関。さらに行くと高級料亭街・赤坂がある。

 何というのか、そういうプレミアな地域のど真ん中にあるのが新橋。というわけだから、普通に言うなら「超高級○○街」となってもおかしくないはずだ。ところが案に反して、ここはなぜかサラリーマン(「ビジネスマン」に非ず)憩いの街なのだ。テレビの街録でもおなじみですね。必ずちょっと酔っぱらったサラリーマンたちが、ボーナスの減少を憂えていたりする。いわばエアポケットのように取り残された街こそが、なぜか新橋。そのテイストは一言でいうなら「昭和」だろう。ぶっちょー、今夜はひとつ、ぶわーっと行きましょう! ぶわーっと! とか、ネクタイを鉢巻きにした植木等が叫んでる街。あれこそが間違いなく新橋という街である。

【次ページ】 汐留と新橋。ガラリと印象変わる隣町。

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