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これがW杯優勝候補?
ドイツ代表に漂う停滞感。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byUniphoto Press
posted2010/03/18 10:30
決して強くはない現アルゼンチン代表に、完封負け。レーブ監督のドイツは逆風にさらされている
リーグとまったく異なるFW陣の起用法に問題が噴出。
コンセプトに目を向けるならば、11月に代表に復帰したシュテファン・キースリンクがアルゼンチン戦で起用されなかったことにも疑問が残った。相手を背中でブロックしてボールを収められるため、所属するレバークーゼンでは彼に一度ボールを預けることでカウンターが始まっている。彼はスピードを活かした裏への飛び出しも得意だ。前述したコンセプトにも合致するはずだ。まして、彼はリーグ戦で16ゴールを決めて得点ランキングでトップに立っている選手なのだが……。
ミロスラフ・クローゼとマリオ・ゴメスの両FWの置かれた立場も微妙だ。彼らが所属するバイエルンでは、ゴメスが先発でプレーして、ゴールが必要となる状況でクローゼが投入されるというパターンが確立されている。だが、代表では正反対。実際、アルゼンチン戦でも前半はクローゼ、1点をリードされて迎えた後半はゴメスが起用された。普段とは逆の役割を求められる中で、活躍するのは難しい。
「クローゼが所属するチームでレギュラーとしてプレー出来ていないのは問題だが、それでも私は信じている」
そう語るレーブ監督は、よほどのことがない限りFWの人選をいじることはなさそうだ。
前監督クリンスマンは「今のドイツは優勝候補」。
アルゼンチンに大敗したわけでもなく、現在の代表に致命的な穴があるわけではない。その一方で、改善すべきことがたくさんある。『キッカー』誌は「レーブ監督には課題が山積み」という表現で、警鐘をならしている。
そんな周囲の心配をよそに、アルゼンチン戦をスタンドから観戦した前監督のユルゲン・クリンスマンは、こんな風に語っている。
「2006年のメンバーをベースにしたチームに、若くて才能のある選手が加わった。イングランド、ブラジル、アルゼンチンと並んで、今のドイツは優勝候補だろう」
本大会前に散々叩かれながら、2006年のW杯では3位という結果を残して見せたのがクリンスマンだった。そんな彼のコメントに希望を見いだすしかない状況というのは、嘆かわしい。