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日本一の称号を手にした
馬場ゆかりの発想転換。
~日本女子オープン優勝の秘密~ 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

PROFILE

photograph byTaku Miyamoto

posted2011/10/14 06:00

今季は5回の予選落ちと不振が続くも、我慢のゴルフで3年ぶりのツアー優勝を果たした

今季は5回の予選落ちと不振が続くも、我慢のゴルフで3年ぶりのツアー優勝を果たした

 勝ちたいという想いは、誰しも強い。それが、女子ゴルファーの日本一を決める日本女子オープンであれば、なおさらだろう。

「単なる1勝ではなく、長い日本の女子ゴルフの歴史に刻まれる重みがある」

 本大会で4連勝を含む通算8勝を挙げ、女子プロ界の草創期から長らく女王に君臨した樋口久子は言う。

 今年の日本女子オープンは、名古屋ゴルフ倶楽部和合コースで行なわれ、28歳の馬場ゆかりが、通算12オーバーで自身初のメジャー優勝を果たした。

 このコースは毎春、中日クラウンズの会場としても使われ、昨年は石川遼が58という驚異的なスコアを出して有名になった。だが、日本女子オープンで選手たちは、「どこをどう攻めたらいいのか途方に暮れる」(有村智恵)ほど攻めあぐんだ。

 というのも、今回はフェアウェイの幅が中日クラウンズのセッティングよりも3分の1以上も狭く、ティショット落下点付近では幅12ヤードというホールがいくつもあった。さらに、グリーンの面も硬く砲台型で上手く乗せたとしても、ボールが止まらずにどんどん転がってしまう。おそらく、この状態では男子プロが戦ったとしても、アンダーでまわるのは簡単ではないはずだ。事実、選手たちはパー70のコースを「5オーバーがパープレー」と考えてプレーするほどだった。

馬場ゆかりを発奮させた母からのメール。

 そんな中で馬場ゆかりは、2日目の前に気持ちを切り替えた。超難コースで、視野に入るものがすべて怖い、攻めあぐむ、ラフに入れたらもう無理……そんな感情を逆手にとって発想転換したことが、スコアメイクにつながった。

「試合だと思わないでプレーしました。自分の持っている技量を上手く試そう、駆使しよう、と」

 そして、最終日の後半にはコースに踊らされるのではなく、主役は戦う人間なんだと割り切って、見事反撃に成功した。

 先月上旬には、母から「あなたの貯金も底をついて、税金払えないからね。知らないわよ」というメールが届き、発奮したという。

 身長149cmながら、彼女のゴルフはダイナミック、かつ分厚い技量の宝庫である。加えて、逆境を力に変える精神力が、ミラクルを引き寄せた。

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