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カーリングの聖地は青森から札幌へ!?
専用競技場はソチへの布石となるか。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2010/03/17 10:30

カーリングの聖地は青森から札幌へ!? 専用競技場はソチへの布石となるか。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

バンクーバー五輪でカーリング会場となった“バンクーバー・オリンピック・センター”。雨水や会場で発生した様々な余熱を再利用するシステムなどを導入し、建設段階から大会終了後まで徹底的なエコロジー思想で貫かれている

 バンクーバー五輪が終わった。

 4年に一度の舞台を目指してきた選手にとっては、ひとつの区切りである。次のオリンピックを目指そうと考える選手、競技から身を退く選手、進退を思い悩む選手……それぞれに進路を考えるタイミングでもある。

 考える際に大きく関わるのが、競技生活を続ける環境があるかどうかだ。

 今回のオリンピックに出場した選手たちの競技環境を見ていても、ごく一握りの選手は大スポンサーを獲得することで比較的恵まれた状況で競技に取り組んでいたが、大半の選手は、中小企業の支えなしには続けられなかった。民間企業の支えという点は、今回にかぎらず、これまでの日本のアマチュアスポーツの土台ともなってきたが、昨今の不況などもあって、支援する企業が減少し、選手の競技環境も悪化してきたのが現状だ。ましてこれからのことは、さらに保証がない。

 例えば、スピードスケートのチームパシュートでメダルを獲得した田畑真紀、穂積雅子は、地質調査や土木設計などを手がける富山の「ダイチ」に勤める。社員は40人ほどの、決して大きいとは言えない会社である。それでもオリンピックを目指す両者を支えようと、会長などの給料を削ってでも年間2000万円を超えるといわれる強化費用を捻出してきた。だがこれからの4年も、同じように支援できるかは微妙だという。

 また、練習できる場所が確保できるかどうかも重要となる。国内の身近なところにあれば少ない遠征費用で済むが、なければ、国内外を問わず遠出しなければならない。それができなければ、競技を断念しなければいけない場合も出てくる。

2012年、札幌に通年営業のカーリング場がオープン!

 そんな中、ひとつのニュースが届いた。

 札幌に、カーリング場ができるというのだ。

 2012年のオープンを目指し、札幌市が建設に動き出したもので、10年度の予算に建設費用を計上。公設のものとしては、日本で唯一の通年営業のカーリング場になる予定だ。

 カーリングは、バンクーバー五輪にチーム青森が出場したが、選手5名のうち、4名は北海道出身であった。前回のトリノ五輪の代表5名も、全員が北海道から青森に渡った選手たちだった。

 理由は、北海道で競技を続ける環境が乏しいことにあった。日本でカーリングがもっとも盛んなのは北海道、それも名寄市、常呂町などの地域だが、これらの町には選手を支えていけるだけの企業がない。そもそも就職先の間口自体が狭い。学生時代はプレーしていた選手たちも就職を考えなければいけない時期が来るが、そうなると、町を離れざるを得ない。道内であれば札幌などの都市圏となるが、今度は競技に打ち込める施設がないため、競技から離れざるを得なくなる。

 そのため、行政、地元企業一体となってカーリングをサポートする青森に渡るしか選択肢がなかった。といっても、青森に行ける人数は数人程度でしかない。

【次ページ】専用競技場の建設でカーリング界はどこまで変わる?

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