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ピッチ外で活用したい、
清宮克幸の頭脳と手腕。
~前サントリー監督の今後は?~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byShinsuke Ida

posted2010/03/16 06:00

ピッチ外で活用したい、清宮克幸の頭脳と手腕。~前サントリー監督の今後は?~<Number Web> photograph by Shinsuke Ida

就任2シーズン目にマイクロソフト杯優勝を果たした。後任にはGMのジョーンズが就く

 難しい大会だ。波乱が相次いだ日本選手権。トップリーグ(TL)2位のサントリーは1回戦で10位のNECと引き分け、抽選で敗退。準決勝ではプレーオフ王者の東芝もTL4位のトヨタ自動車に敗れ去った。

 落とし穴は試合間隔に偏りのある日程にあった。サントリーは、プレーオフ準決勝で敗れたショックを引きずったまま、ワイルドカード戦を勝ち抜いたNECとの戦いに臨み、立ち合い負け。東芝は決勝から3週間のブランクと、頂点を極めた後のエアポケットをトヨタに突かれた。

「ラグビーに専念できたし、駆け抜けましたね」

 モチベーション設定の難しい試合にも意義はある。仮に苦い経験であれ、長い目で見れば選手を成長させる。だが、シーズンを締め括る大会がいびつな日程で行なわれることには割り切れなさも残る。TL上位の実力は紙一重。僅かな要素で力関係は変わる。そして、このご時世では結果次第でチームの存続問題さえ浮上し、指導者の責任も問われる。

「期待に沿えなかった以上、当然、責任を取ることになります」

 NEC戦後、サントリーの清宮克幸監督はそう話し、監督の座から退いた。選手たちに別れを告げた2月19日の納会後は、「いい転機でしょう。来季は新生サントリーとして、新しい風を吹かせてくれますよ」と笑みさえ浮かべた。

「この4年間はすごく面白かった。ラグビーに専念できたし、駆け抜けましたね」

緻密なマネジメント力で停滞するラグビー界に新風を。

 気になるのは今後だ。指導者のオファーはたくさん届くだろう。だが記者は、その緻密な分析力と、勝つための環境整備力をピッチ外で見たい気もする。

「僕が言うのは確率の話。何がベストかなんて分からない。ただ、分析と予測に基づいて、うまくいく確率の高い方法を提示する」('08年1月、本誌695号)

 監督を務めた4年間のリーグ戦順位は2位が3度と3位が1度。この間4位以下に落ちなかったのはサントリーだけだ。清宮のチームは瞬間風速では劣ることがあっても、安定して高い力を発揮し続けた。それは早大時代から一貫している。

 '19年のW杯開催。'16年からの7人制ラグビー五輪採用。追い風が次々吹いたというのに、日本ラグビーの情報発信力は停滞したままだ。この際、清宮に日本協会の事務方を任せてみたら……なんて想像が記者の頭をよぎるのだった。

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