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立場変われば人変わる。
“経営者”ジョーダンの変心。
~バスケの神様が球団運営で苦悩~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byNBAE/Getty Images

posted2011/10/04 06:00

立場変われば人変わる。“経営者”ジョーダンの変心。~バスケの神様が球団運営で苦悩~<Number Web> photograph by NBAE/Getty Images

ボブキャッツは昨シーズン東地区10位と低迷。労使争議もこじれ、バスケの神様も頭が痛い

 10万ドル、日本円にして800万円弱。シャーロット・ボブキャッツの筆頭オーナー、マイケル・ジョーダンが先日、NBAから科せられた罰金の額だ。8月半ば、オーストラリアの新聞社、ヘラルドサン紙の取材を受けたジョーダンは、オーストラリア人NBA選手、アンドリュー・ボガットの名前をあげ、彼が所属するミルウォーキー・バックスのような小都市チームでも勝利と収益の両方を追求して、スター選手が輝けるようなシステムが必要だと説いたのだが、これがいけなかった。

 話の内容は別に秘密事項でも何でもなかったが、リーグのかん口令を破ったのが問題だった。7月1日にロックアウトに突入して以来、NBAはチームのオーナーや雇用者たちに対して、公の場でロックアウトや現役選手について語ることを禁じている。ジョーダンもこのかん口令は知っていたはずなのだが、海外のメディア相手に気を緩めたのか、選手サラリーを一定額に抑えるハードキャップ制や収益分配制を含む新システムがなぜ必要なのかを、熱く語ってしまったのだ。

かつてジョーダンは選手側代表として労使交渉に参加したことも。

 実のところ、ジョーダンが語ったことこそ小都市チーム・オーナーの本音であり、今の労使争議を突き動かしている理論だ。大都市のチームだけが収益をあげて強いチームを作れるリーグではなく、全チームが赤字を心配することなく競えるリーグへ。ジョーダンをはじめとする多くの小都市オーナーたちの主張に、大都市オーナーも同意した結果、オーナー側はシーズンを犠牲にしてもやむなしという強硬な態度で話し合いに臨んでいるわけだ。交渉の場でも歩み寄る姿勢を見せる選手側に対して、オーナー側はほとんど譲歩していない。

 皮肉なのは、13年前のロックアウトでジョーダンは選手側代表として労使交渉に参加し、選手の高額サラリーを求める主張をしていたことだ。ある会合では、当時ワシントン・ウィザーズのオーナーだった故エイブ・ポリンに、「収益をあげられないのならチームを売ればいい」と言い放ったこともあった。立場と時代が変われば、人の主張も変わるということだろうか。

 そのあたりの気持ちの変遷も聞きたいが、残念ながら今もかん口令中。これ以上、罰金覚悟のコメントはなさそうだ。

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