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ジョコビッチは全米で
“1強”時代を築けるか。
~不振のナダルとライバルたち~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2011/09/06 06:00

ジョコビッチは全米で“1強”時代を築けるか。~不振のナダルとライバルたち~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

ウィンブルドン初優勝のジョコビッチ(左)。全米での初戴冠も狙う

 長く追い求めていたものを手にした瞬間、ホッとしてスローダウンしてしまう選手は少なくない。しかし、7月に初めて世界ランク1位になったノバク・ジョコビッチには心配は無用だろう。この全米でも、優勝争いの先頭に立つのはこの新王者だ。

 ウィンブルドン初優勝の余韻を楽しんだのも束の間、8月のモントリオール大会でツアーに戻ると、いきなり優勝。シンシナティ大会ではアンディ・マリーとの決勝を途中棄権したが、これが今季わずか2つめの黒星。57勝2敗の勝率は驚異的だ。

 モントリオールの決勝でジョコビッチに敗れたマーディ・フィッシュは、相手の強さをこう分析した。

「何度もチャンスを得たが、それを生かせなかった。これこそ彼が勝ち続けている理由だよ。ピンチを逃れることにかけてはツアー随一だ」

 その勝負強さだけではない。10人のライバルに尋ねれば10通りの解説が聞けるに違いない。それくらい、今のジョコビッチは多面的な強さを見せている。

ジョコビッチとの“2強時代到来”と騒がれたナダルに元気がない。

 気の緩みがないのは、長い間ロジャー・フェデラーやラファエル・ナダルの背中を追いかけ、王者のあるべき姿を学んできたからだろう。

「常に前向きな姿勢でいたい、毎日向上したい、勝ちたい、いつも決然とした態度でいたい、プロフェッショナルでありたい――そう思うことが僕のどん欲さとモチベーションを支え、僕を前進させるんだ」

 舌禍騒動も起こした生意気な若者は、いつしかこんな言葉が似合う選手になったのである。

 全豪とウィンブルドンをジョコビッチが制し、全仏はナダルが優勝、2強時代到来と騒がれたが、ナダルはどうも元気がない。ウィンブルドンで左足のかかとを痛め、ツアー復帰戦となったモントリオールでは初戦敗退の屈辱。泣きっ面に蜂というか、不注意で右手に火傷を負い、シンシナティでは8強止まりだった。

【次ページ】 ナダルの不振はジョコビッチに抱く苦手意識の影響?

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