宮古島キャンプで久しぶりに会うと、若返ったオリックスの精神的支柱になっていた。9年ぶりに日本球界復帰を果たした40歳、田口壮のことである。
先月5日、小瀬浩之が突然亡くなった。その時、茫然としている選手会長の日高剛に、あるアドバイスを送ったという。
「カージナルス時代にも選手が突然亡くなったことがある。その時は棺を送り出す際に、一列に整列して見送った」と自らの経験を話し、それを区切りに頭を切り替えようと伝えた。日高も田口のアドバイスがなければ、どう対処すべきか分からなかったかもしれない。様々な引き出しを持っている田口に感謝していた。
キャンプ中のウォーミングアップを見ていても、田口の存在感は別格だ。チームの最後尾を走り、大声を出してナインを鼓舞している。自分の役割をよく理解しているからこそできる働きである。
ひとり息子の言葉が9年ぶりの日本球界復帰を後押し。
8年間のメジャー生活では、ワールドチャンピオンリングを2個獲得したが、実はマイナー暮らしも長い。当時のその辛い経験が強みになっている。
「図太くなりました。少々のことには動じませんから。いきなり『下に行け』と言われてマイナーに行くとスパイクのサイズが合わない。つま先に脱脂綿を入れてプレーしたこともありました」
昨年はカブス傘下3Aアイオワに在籍していたが、レギュラーシーズン終了後に自由契約となってしまう。40歳の控えより将来ある若手にチャンスを与えたい、というのが球団の本音だった。もう野球を辞めるかもしれない……そう家族に告げた時、ひとり息子の猛反対にあった。
「『自分から諦めるな』がパパの教えだろ」
この時、田口は自分を必要としてくれる球団があるうちは、野球を辞めないと決意したという。
「若年寄扱いはやめてくれ」とレギュラー獲りに執念を燃やす。
メジャーからのオファーはなかったが、古巣から声がかかった。オリックスは将来の監督候補として呼んだのだろう。しかし、田口自身は若い選手と横一線のレギュラー争いをしたいと考え、T-岡田、坂口智隆らに対して「若年寄扱いはやめてくれ」とキッパリと言い切っている。
「力の落ちたベテランと出世を諦めたサラリーマンは扱いにくい」という言葉があるが、キャンプでの様子を見ていると、田口には当てはまらなさそうだ。
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