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<世界陸上2011プレビュー> 福島千里&女子4×100mリレー 「ロンドン五輪で決勝へ!」
 

text by

折山淑美

折山淑美Toshimi Oriyama

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photograph byRyoukan Matsui

posted2011/08/26 06:01

<世界陸上2011プレビュー> 福島千里&女子4×100mリレー 「ロンドン五輪で決勝へ!」<Number Web> photograph by Ryoukan Matsui
北京五輪以降、福島が1人で牽引してきた女子短距離界。
だが新世代の台頭と計画的強化により、4×100mリレーで
世界の強豪と伍して闘える実力が身についてきた。
チームの核となる女王と、それに続く4人の素顔に迫る。
ゴールデングランプリ川崎での3走福島から4走市川華菜へのバトンパス

「リレーでロンドン五輪の決勝を目指す」

 今年1月から女子短距離のナショナルチームは、はっきりとした目標を掲げた。

 A標準を突破している福島千里と、彼女に続く髙橋萌木子を2本柱に据えれば目標達成は現実味を帯びる。そしてこの野心的な目標は女子短距離強化の起爆剤になると、指導陣が考えたからだ。

 バトンパスの確実性と受け渡し後の加速力を向上させ、新しい事への挑戦でチームに一体感を生み出すために、男子で効果を上げたアンダーハンドパスを採用。1月と2月の北海道合宿、そして3月の沖縄合宿で、9名の選手からなるチームで練習を積んできた。

 その成果はすぐに現れた。5月のゴールデングランプリ川崎で、初レースながら43秒39の日本新記録を出したのだ。福島を指導する中村宏之監督がその記録の意義を解説する。

「あのレースで、8月末からの大邱(テグ)世界選手権やロンドンの決勝進出が現実味を帯びてきたのは大きい。初レースだったからバトンパスも詰まり気味だったけど、それでももう少しで決勝へいけるというタイムで走れた」

 世界の舞台に立つだけでなく、世界で闘う。

 期待を集める若きリレーチームは、いかにして飛躍を遂げようとしているのだろうか。

昨冬のアジア大会で2冠も、今季序盤は痙攣に苦しめられた福島。

「普通のことを普通にやるというのは、難しいと思うんです。いつもと違った場面で、いつも通りにできることが世界では必要。だからこそ、普通のことをずっとやり続けることが大事。それで少しずつ強くなったり、少しずつ記録が伸びていけばいいんですね」

 こう言って福島千里は軽やかに微笑む。特別なトレーニングではなく、普通にやることが、世界選手権を1カ月後に控えた時期でも自分には一番いいのだと。

 普通に、普通に。

 自分がやってきた練習や動きを考えれば、本当に充実している、と言う。ほんのちょっとしたことでも楽しめる、と。

 だが、今季序盤、リレーチームのエースであり、昨冬のアジア大会で2冠を達成したスプリントの女王は苦しんでいた。

 初戦だった4月の織田記念100mでは、決勝直前に左ふくらはぎが痙攣し、棄権。

「(中村)先生が『結果なんてどうでもいい』と言ってくれたんで、『どうでもいい、どうでもいい』と思って走った」という静岡国際200mこそ圧勝したが、その5日後の川崎では、4×100mリレーで日本新を出しながらも、100mではゴール直前で再び痙攣を起こして失速した。

【次ページ】 「いつ走れるのかな、今年は無理かもしれないな」

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