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眠れる獅子はいつ目覚めるのか?
埼玉西武ライオンズの暑く厳しい夏。 

text by

永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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photograph byHideki Sugiyama

posted2011/08/18 10:30

眠れる獅子はいつ目覚めるのか?埼玉西武ライオンズの暑く厳しい夏。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

8月15日時点でリーグワーストの9敗を喫している涌井秀章。昨季の成績14勝8敗より大幅に悪くなっている今季これまでの数字に、エースの称号が揺らぐ……

勝てないエース・涌井を渡辺監督は擁護しつつも……。

 そこでクローズアップされるのが現在のエース・涌井秀章の存在だ。

 前半戦をわずか5勝で折り返し、後半戦は4試合に投げ、未だ勝ち星がないエース。

 しかし、8月9日の北海道日本ハム戦では7回に不用意な一発を浴び後半戦初勝利を逸したものの、6回までは無失点に抑える好投で復活を予感させた。

「涌井はよく投げたと思う。早めに援護があればまた違った展開になっていたと思うけど先にやられてしまったね。あそこ(7回)で抑えてこそ本当のエースなんだけどね」(渡辺久信監督)

 指揮官は苦しむエースの心情を察しながらも、あえて苦言を呈した。これも涌井に対する期待の大きさがあればこそだろう。

 そんなエースの復活を確信に変えたのはこの日ボールを受けた銀仁朗の言葉だった。

「今日は真っ直ぐが良かったです。悪いときはその真っ直ぐで空振りが取れていないと思うんですけど、今日は空振りが取れていましたからね。前回(8月2日)の楽天戦は空振りが1つでしょ。それと比較しても今日は断然良かったと思います」

 この日の涌井は日ハム打線を相手に7回で9個の三振を奪っていた。そのうち7個は空振りを奪ってのもの。決め球が決め球になっていた。

 球場をあとにする際に涌井は、

「7回のあの一球……そうですね。あの一球だけだったと思います」と言葉少なに語った。

 8月16日現在、パリーグの勝利投手ベスト10に埼玉西武の投手の名はどこにもない。誰かが先発陣の支柱にならなければいけないのだ。

 残り試合の戦いぶりを引き続き見守ろうと思う。

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