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2010年初頭の角界を揺らした、
2つの「乱」。
~貴乃花理事就任と朝青龍引退~ 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

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photograph byKYODO

posted2010/03/09 06:00

緊張した面持ちで会見に臨む貴乃花親方(右)。武蔵川理事長(左)に改革の思いは届くのか

緊張した面持ちで会見に臨む貴乃花親方(右)。武蔵川理事長(左)に改革の思いは届くのか

 初場所後、相撲界に激震が走った。相撲ファンのみならず、全国民が注目したといっても過言ではない2つの乱。相次いで出された裁定は、民意が大きく反映されたものとなった。

 まずは貴乃花親方の反「乱」。2月1日、両国国技館で行なわれた日本相撲協会理事選挙に、二所ノ関一門を離脱した貴乃花親方(元横綱・貴乃花)が初めて立候補したのだ。その結果10票を獲得、予想外の逆転劇で理事に当選した。支持者は共に一門を離脱した6人に、自身を加えた7人のみ。年功序列や一門ごとの候補者の事前調整を重視してきた相撲協会に、「改革」を主張して挑んだガチンコ勝負。勝算を度外視し、真摯に突き進む貴乃花親方を支持するファンの声は、判官贔屓もあってか日増しに大きくなった。その声が動かしたのか、土壇場の投票で3票が貴乃花親方に流れた。現職の大島親方(立浪一門)が落選し、 37歳5カ月、歴代5番目の若さで理事の座をつかんだ。選挙会場の大広間には重苦しい空気が流れたというが、貴乃花親方が投じた一石で生じた「改革」の波紋は大波となるか。今後の貴乃花理事の動きを見守りたい。

限りなく解雇に近い強制引退だった“稀代のヒール”。

 続いては朝青龍の「乱」暴騒動。ご存じの通り、初場所中の1月16日未明、東京都港区の路上で知人にケガをさせたとされる泥酔暴行騒動だ。真相究明中の2 月4日、横綱は引退を表明した。度重なる不祥事で問われ続けた「横綱の品格」。その相撲界への貢献、影響の大きさを考慮してか、温情裁定が繰り返されたが、今回ばかりは不祥事の質が違った。世論は協会に厳正なる対処を要望した。理事会での「引退しなければ解雇」、横綱審議委員会での「引退勧告」に観念したように選んだ引退は、実際には限りなく解雇に近い強制引退だった。

 数々の不祥事の反面、その強さは圧倒的だった。初土俵から最短25場所で横綱昇進、史上最多の7場所連続優勝、史上4位の35連勝。史上3位の25回優勝等々、力士生活11年間に築いた金字塔は数知れず。品格について会見で「土俵に上がれば鬼。精一杯相撲を取りたい」と語ったが、土俵外での品格に考えが及ばなかったことが甚だ残念である。

 稀代のヒールとして絶大なる人気を誇った横綱朝青龍。今の胸中はさぞや無念に違いない。

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