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日本が見つけた武器と
背中合わせの“脆さ”とは。
~なでしこジャパン世界一の陰で~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byAFLO

posted2011/08/15 08:00

ブラジルのタイトな守備に苦しめられつつも、U-17代表はパスワークを武器に善戦した

ブラジルのタイトな守備に苦しめられつつも、U-17代表はパスワークを武器に善戦した

 昨年、A代表がワールドカップでベスト16に進出して以来、日本サッカーは史上空前の好成績に沸いている。

 昨秋のアジア大会では、初優勝(五輪代表)。今年に入っても、アジアカップ優勝(A代表)に始まり、U-17ワールドカップで18年ぶりのベスト8進出(U-17代表)。ついには女子ワールドカップ(女子代表)で、世界の頂点に立つという快挙が成し遂げられた。各代表が軒並み史上最高成績を残している。

 好調の要因を探るうえで、吉武博文・U-17代表監督の次の言葉が印象的だ。

「日本選手のいいところを発揮すれば、接触プレーなしにボールを運べるという点では、少しの光が見えた」

 取材の都合で、女子についてはほとんど試合映像を見ていないが、日本の特徴を生かした戦いを見せたと聞く。快挙達成の要因には、U-17代表に通じるものがあったのではないだろうか。

 現地のテレビ中継では、バルセロナにまで例えられたU-17代表のパスサッカー。メキシコで彼らが見せた戦いは、確かに未来への光だった。

U-20代表が象徴する“日本が目指すサッカーと表裏一体の脆さ”。

 だが、そこに不安がないわけではない。

 日本が世界と伍していくために、接触プレーをできるだけ回避してパスをつなぐという発想は、今に始まったものではない。恐らく過去にも、光が差したことはある。にもかかわらず、それが確かなものにならなかったのは、同時に、接触プレーに対する恐怖心も芽生えさせてしまうからではないか、と感じている。

 不得手なプレーを避けようとする意識が強くなりすぎ、相手のプレッシャーを必要以上に怖がってしまう。そして、寄せられる前にパスを出さなければと慌て、ミスをする。ときに、そんな一面が顔をのぞかせるのだ。

 冒頭に列挙した成績を見ると、U-20代表が蚊帳の外になっていることが分かる。彼らが2大会連続でU-20ワールドカップへの出場を逃すなかで見せたものは、相手のプレッシャーに腰が引け、技術を発揮できない散々な姿だった。並べられた好成績の陰には、日本が目指すサッカーと表裏一体の脆さが隠されている。

 確かに、日本の特徴を発揮すれば、世界と戦えることは証明された。だが、もう一歩先へ進むためには、やらなければいけないことが残っている。

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