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松井秀喜の500号で考えた、
日米通算記録の価値。
~イチローの場合と比較して~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2011/08/08 06:00

松井秀喜の500号で考えた、日米通算記録の価値。~イチローの場合と比較して~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

プロ19年目で到達した500号は、王手をかけてから25試合目、103打席ぶりの一発だった

 7月20日、アスレチックスの松井秀喜が、日米通算500号本塁打に到達した。1993年の第1号以来、プロ19年目の偉業だった。ただこの記録、日本のファンにとっては思いの込められた数字だが、メジャーでは168本目の本塁打。アスレチックスのメルビン監督代行は「称賛に値する。日米分けて考えることなく素晴らしい」とコメントしたが、現実的には「日米通算」の記録に関して温度差があることも否定できない。

 実際、達成直後の松井は、「光栄なことだが、正直、感想はない」と、あっさりした言葉を残した。あと1本と迫って以来1カ月余りを要した照れだけでなく、この記録について複雑な思いがあったからに違いない。翌日の米国メディアは、松井の500号到達をニュースとして報じたが、通算記録がメジャーでの「500本塁打クラブ」に相当するかと言えば、その多くが懐疑的だった。

数カ国を渡り歩く選手の合計記録となれば、解釈はさらに難しく……。

 '08年にイチローが日米通算3000本安打を達成した直後も、ほぼ同様の反応だった。昨年、史上初の10年連続200本安打を放った際、野球殿堂の投票権を持つ米国人記者のほとんどが、「イチローの殿堂入りは確実」と予想した。その一方で、通算安打に関しては「日本での安打数はカウントすべきではない」との意見も多く聞かれた。つまり、イチローの場合、メジャーの成績だけで殿堂の条件を満たしたと解釈されており、通算記録が判断材料になっているわけではない。

 プレーする舞台が異なるだけに、そもそも通算記録に明確な枠組みを設けること自体、不可能なことである。日本で活躍したタフィー・ローズ(元オリックス)の464本塁打に、メジャーで残した13本塁打を加算することに、日本のファンはどれほどの価値を見いだすだろうか。韓国、台湾出身の選手、さらに数カ国を渡り歩く選手の合計記録となれば、解釈はさらに難しくなる。

 ただ、確かに米国では「参考記録」かもしれないが、だからといって記録の意味が薄れるわけではない。3000本安打を超えた際、イチローは少し誇らしげに言った。「日本で養った技術を使って打っているわけですからね」。達成した選手自身だけでなく、何よりも応援してきた多くのファンが誇りに思えれば、合算した数字はより重みを増すに違いない。

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