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スタジアム命名権などで520億円!!
マンCが“聖地”を商品化した功罪。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2011/08/05 10:30

スタジアム命名権などで520億円!!マンCが“聖地”を商品化した功罪。<Number Web> photograph by AFLO

クリシーの他にも、アグエロなど今季も大きな買い物が続くマンチェスター・シティ。スタジアム命名権の代償として、果たして結果を出すことが出来るか

「シティ・オブ・マンチェスター・スタジアム」から「エティハド・スタジアム」へ。7月8日に発表された命名権売却により、マンチェスター・シティのホームスタジアム改名が決まった。

 シティは、全国区の人気を誇る地元の宿敵マンチェスター・ユナイテッドに対し、「本当の市民をファンに持つ」ことを自負してきたクラブだ。旧名称は通称“シティズンズ(市民たち)”のホームに打って付けだった。しかし今後は、地元の都市名の代わりに、アブダビの航空会社名がホームの名称となる。

 もっとも、ファンによる抗議運動などには至らなかった。現スタジアムは、2002年に地元行政から譲り受けた元陸上競技場であり、ホームとしての歴史が浅いことから、旧名称に対するファンのこだわりが弱かった。また、今季から導入されるUEFAの“ファイナンシャル・フェアプレー”制度を、ファンが強く意識していた点も忘れてはならない。

 3年前のアブダビ資本による買収以来、同首長国の“オイルマネー”を武器に大型補強を繰り返したシティは、昨季をプレミアリーグ3位で終えて、クラブ史上初のCL出場権を手に入れた。しかし、損失計上額が150億円を超えるようでは、クラブに収支のバランスを要求する新制度に違反する。つまり、今後もCL出場権を獲得し続ける力を備えていても、大会主催者のUEFAによってCL出場を禁じられかねないのだ。

約520億円もの破格の命名権料でCL常連への道が開けた。

 今後10年間、企業名をスタジアム名として受け入れる代償として、シティは4億ポンド(約520億円)にも上るスポンサー収入を得る。2年前に始まったユニフォーム(胸)のスポンサー契約延長による収入も含まれるが、その規模は'04年にアーセナルがエミレーツ航空と結んだ同類のスポンサー契約の4倍以上。逆に、命名期間はエミレーツの15年に対して、エティハドは10年と短い。CL常連を目指すクラブとファンにとっては、破格の副収入を約束する好条件の商談だったのだ。

 アーセナルからはクレームがついた。クラブと利害関係にある企業が不当に高額な商談に応じた疑いがあるとして、UEFAに調査を求めたのだ。たしかに、オーナーもスポンサーもアブダビ系だが、シティ側は契約前にUEFAに確認済みと自信満々だ。

 しかし、だからといって、シティの例に倣うクラブが相次ぐことにはならないだろう。命名権販売は、やはり扱いがセンシティブなのだ。

【次ページ】 巨額の副収入をもたらす命名権販売は“諸刃の剣”?

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