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迫力の試合運びに見た、
女子格闘技界の将来性。
~日本独自の文化になるか?~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph bySusumu Nagao

posted2011/07/30 08:00

迫力の試合運びに見た、女子格闘技界の将来性。~日本独自の文化になるか?~<Number Web> photograph by Susumu Nagao

辻結花と石岡沙織がライト級で対戦。何度もテイクダウンを奪った辻が3-0の判定で勝利

 今年になって女子総合格闘技の勢力図は大きく様変わり。ケージ(金網)ファイトのヴァルキリーが活動を休止したため、女子の単体興行としてはジュエルスだけになってしまったのだ。7月9日、東京・新宿フェイスで行なわれたジュエルス15にはV.V Meiや高林恭子らヴァルキリー勢が多数参戦したため、団体対抗戦を軸に大いに盛り上がった。

 大会MVPは、ヴァルキリーの前フェザー級王者としてジュエルス期待の石岡沙織との対抗戦に臨んだ辻結花だろう。昨年、右肩と右ヒザを手術。1年5カ月も休養していただけに試合勘の衰えが心配されたが、1Rから目の覚めるような弾丸タックルで試合の主導権を握る。

 グラウンドで石岡にクルリと回されそうになっても、合法的にロープを使ってその動きを遮断するなど細かい技術も冴え渡っていた。復帰戦を判定で飾った辻は36歳ながら、未だ成長過程にあるのか。

 女子の総合格闘技界では辻とともにツートップに君臨する藤井惠は、4年前に完勝している長野美香と再戦。粘る長野の前に完全決着こそつけられなかったが、行く時には行く勝負度胸を見せつけて返り討ちにした。石岡や長野は次世代の旗手と期待されているが、二人の女王との世代交代は思うように進まない。

現在、女子総合の大会が定期開催されているのは日本のみ。

 昨年2月、辻を破って世代交代を果たしたかに見えたV.V Meiはハム・ソヒの打撃のプレッシャーに押しまくられ、大差の判定負けを喫した。韓国女子格闘技のパイオニアとして知られるハムはキックボクサーでもある。蹴りの破壊力とそれを出すタイミングは屈指だろう。

 辻、藤井、ハムの共通項は性別を意識させない試合運びに尽きる。その証拠に彼女たちの出番になると会場の緊張感は高まり、試合の技術レベルも格段に上がっていた。女子ならではのしなやかさを感じさせる試合もいいが、本格的な総合として観戦できる試合も魅力的に映る。

 現在、女子の大会が定期開催されているのは日本のみ。海外にも女子の総合は存在するが、男子の大会の中に組み込まれているのが現状だ。今年のジュエルスの興行回数は5回。日本独自の文化になる可能性も秘めている女子総合を発展させるためには興行数を増やして新世代の育成を推進していくしかない。新旧世代が拮抗してこそ健全な発展が望める。

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