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ハミルトンのドイツGP優勝は想定内!?
“ロケットオレンジシャツ”の矜持。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images

posted2011/07/28 10:30

ハミルトンのドイツGP優勝は想定内!?“ロケットオレンジシャツ”の矜持。<Number Web> photograph by Getty Images

ドイツGPで優勝してチームスタッフらにもみくちゃにされるハミルトン。彼の正面と右斜め前方にいるふたりのスタッフが着ている派手なオレンジ色(赤色?)のシャツが“ロケットオレンジシャツ”だ

ウェバーに逆転されてもマクラーレン陣営は動揺せず。

 気温13℃。

 冷たい雨が時折落ちてくる日曜日のニュルブルクリンクへ向かうマクラーレンのスタッフたちのデイバッグの中には、ロケットオレンジシャツがあった。もちろん、ハミルトンがサーキットで過ごすモーターホームの一室にも、ロケットオレンジシャツが用意されてあった。

 そして、午後2時スタートが切られる。

 ロケットスタートを決めたハミルトンがレース序盤をリードした。

 1回目のピットストップで、「アンダーカット」と呼ばれるパフォーマンスダウンの激しいピレリタイヤを早めに交換して相手の前に出る作戦を採ったウェバーに逆転を許すも、マクラーレン陣営は落ち着いていた。

 それはレッドブルのペースに着いていくことができたからである。

マシンの大幅改良の成果は最速のタイムとして現れた。

 前戦イギリスGPで混乱したエキゾーストブローイング問題。

 じつはもっとも不利を受けたと言われているのがメルセデス・エンジンユーザー、とりわけマクラーレンだったと言われている。

 彼らはオフスロットル時に大量の空気を排気管から排出させるだけでなく、特殊なエンジン制御モードを採用して排気管内で再爆発させて、駆動力を得ることなく、排気スピードを高めるというシステムを採用していた。しかし、オフスロットル時のスロットル開度が10~20%ではそれが行えずに、シルバーストーンで失速した。

 エキゾーストブローイングの制御がイギリスGP以前の状態に戻ったドイツGP。しかも、クルマはトップ3の中でもっとも大きく改良していたマクラーレンが、日曜日のニュルブルクリンクでもっとも速かったのは単なる偶然ではなかった。

【次ページ】 タイヤ温存作戦が的中! ハミルトンは6戦ぶりの頂点に。

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