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ルール改定問題をかわした
フェラーリの記念碑的勝利。
~アロンソの浮上が意味するもの~ 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2011/07/21 06:00

ルール改定問題をかわしたフェラーリの記念碑的勝利。~アロンソの浮上が意味するもの~<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

アロンソの優勝は昨年の韓国GP以来となる。首位ベッテル(右)とのポイント差は92点に

 フェラーリが中盤の最重点レースに挙げていた第9戦イギリスGPで、F・アロンソがレッドブル勢に大差をつけ優勝した。最速ラップもマークし、終盤に見せたスピードは力強いものであった。

 彼の今季初勝利は自身27勝目、歴代5位のJ・スチュワートに並ぶものだ。フェラーリのF1初勝利は60年前の'51年、まさにここイギリスGPだった。記念の地での216勝目は、さまざまな意味を持つ貴重な勝利である。

舞台裏で繰り広げられた“制御システム技術論争”。

 大改装されたシルバーストーン、シリーズ折り返し点に待ち構えていたのは、冷たい雨とルール改定問題による大混乱だった。連日のウェットコンディションは実に9年ぶりで、決勝も直前に降った雨でインターミディエイトタイヤでのスタートとなった。

 舞台裏ではFIAとエンジンメーカー、チーム間で複雑な“制御システム技術論争”が繰り広げられ、政治的な次元にまで発展。一時は収拾のつかないまま本番突入かと思われた。

 論点を整理しよう。アクセルオフの間にも排気ガス流をどれだけ車体の空力パーツに吹きつけ、ダウンフォースを得るか。FIAはこの開発競争を大幅に制限しようとした。これに対し、先行するレッドブルは猛反発、マクラーレンも独自の主張を唱えた。

 排気ガス流を制御する方法はメーカーによって異なり、すでに年間8基規定に則ってエンジンは作られている。今回の大きな変更によって信頼性が損なわれる懸念もある。複雑な制御システムである以上、もっと時間をかけて議論し、明確な基準値を定めてから改定に踏み切るべき問題なのだ。

ベッテルが恐れるアロンソがようやく手にした戦えるマシン。

 こうしたなか冷静な態度を取ったのがフェラーリだ。イギリスGPに焦点を定めてアップデートを着実に進めた彼らのマシンは、以前より安定して速く、レッドブルと対等のレベルにまで仕上がった。

 首位S・ベッテル204点に対し、アロンソは3位112点。残りは10戦である。仮にアロンソが優勝の25点をスコアし続けても、ベッテルが2位で続けば、結果22点差で逆転できない計算になる。

 とはいえ、「今はチャンピオンシップのことよりもひとつずつ勝つことだ」と言い切る勝負師アロンソの浮上は、24歳ベッテルにとって不気味な存在だ。一番恐れている相手が戦えるマシンをようやく手にしたからである。

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