菊池の契約金は1億円(出来高5000万円)。契約金の上限が1億円(出来高5000万円)に規定された'94年以降では、松坂、ダルビッシュらと並ぶ7人目となる快挙

菊池雄星の本棚から、
その“大物”ぶりが見える!

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text by Kei Nakamura

photograph by KYODO

菊池雄星の本棚から、その“大物”ぶりが見える!

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菊池雄星

 花巻東の菊池雄星が読書家であることはよく知られている。中学生の頃から、月に2、3冊ペースで読み、「暇さえあれば本屋に通っていた」という。花巻東高校に入ってからも、多い月には本代に3万円も費やしたそうだ。

 ジャンルは、スポーツ・ノンフィクション、ビジネス書、名言集、小説と多岐にわたる。

 だから先日、インタビューの折に、座右の書と呼べるものを聞いてみた。するとしばらく考えたあと、2冊の本のタイトルを挙げた。『心眼力』(野口嘉則著)と『ザ・シークレット』(ロンダ・バーン著)。知らなかったが、いずれも自己啓発書の類で、ベストセラーになっている本だ。

 この手の本には、少なからずアレルギーがあったが、取材対象者を深く知るためという「大義名分」があったので、すんなりと読むことができた。

 書いてある、いわゆる「人生に必要なこと」は決して新しいことではない。いずれもどこかで聞いたことがあるような言い回しといえばそうなのだが、改めて言われると、なるほどと納得することばかりだ。そして何より菊池の精神が、何をどのように積み重ねてきたのか、それが垣間見えたような気がした。

「ちゃんとやれば神様が味方してくれる」

 菊池はこんな話をしていた。

「スポーツだけじゃなく、人間がすることは全部、神様がみている。ちゃんとやれば神様が味方してくれる。だから、ヤジも言ったことがない。ゴミが落ちていても拾っちゃう。そういう取り組みは宇宙とつながっていて……引き寄せの法則とか、そういう法則にしたがうようになってるんです」

「引き寄せの法則」とは、『ザ・シークレット』に書かれている夢実現のための法則のことだ。

 ただ、彼の中でも、こういった本を読むことは、新たな発見というよりは、むしろ確認作業に近かったのではあるまいか。

流れる鼻血を拭いもせず投球に没頭する、計り知れない集中力。

 たとえば、『心眼力』の中では著者が勝海舟のこんな言葉を紹介している。

《事を成し遂げる者は愚直でなければならぬ。才走っては、うまくいかない》

 この件など、まさに菊池そのものだ。こんなシーンが思い浮かぶ。監督の佐々木洋の回想だ。

「ズボンやシャツに穴があいていても平気だし、じゃっかん鼻毛も出ている(笑)。お洒落とか、まったく興味がない。一度、鼻血を出しながら投球練習をしていたときがあったのですが、『あと3球なんで大丈夫です!』って。だらだら流れているのに……。鼻血ぐらいふけよって、ちょっと泣きたくなりました(笑)」

 勝が言うように大事を成す人物は得てしてそういうものなのかもしれないが、気持ちが一点に集中しすぎるため、他に注意がいかなくなってしまうのだ。そのぶん、一点に集中したエネルギー量は計り知れないものがある。菊池にとっての一点、つまりは野球だ。

 また、彼はインプットすることと同じくらいアウトプットすることにも熱心で、本人いわく「話し出したら止まらない」と言うほどのしゃべり好きだ。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  「相手が悪いと思っていても、自分が悪かった、って先に言う」

(更新日:2009年12月19日)

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筆者プロフィール

中村計

中村計

1973年千葉県出身。ノンフィクションライター。某スポーツ紙を経て独立。『Number』(文藝春秋)、『スポルティーバ』(集英社)などで執筆。『甲子園が割れた日 松井秀喜の5連続敬遠の真実』(新潮社)で第18回(2007年度)ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。他に『佐賀北の夏』(ヴィレッジブックス)、共著に『早実vs.駒大苫小牧』(朝日新書)などがある。『雪合戦マガジン』の編集長も務める。趣味は、落語鑑賞と、バイクと、競艇。


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