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ノムさんが仕掛けた「一球の罠」。
喧嘩上等・楽天の次なる手は? 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byTomoki Momozono

posted2009/10/19 12:30

ノムさんが仕掛けた「一球の罠」。喧嘩上等・楽天の次なる手は?<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

第2戦、田中将大と山崎武司は「気持ち」で敵を圧倒!

 先発の田中将大は、相手打線に的を絞らせない圧巻の投球で無四球完投。高校時代から幾多の修羅場を経験し、何よりも「気持ち」を大事にする若きエースは、この大舞台で見事に真価を発揮した。

 それ以上に、主砲・山崎武司の3ランが大きかった。不惑を過ぎてもなおチームを牽引する男のひと振りは、何よりの潤滑油となる。

 かつてこのふたりは、こんなことを語っていた。

「僕はこの先もずっといい調子が続くとは思っていません。悪い状況を素直に受け止めて。でも、絶対に負けられない試合は、『強い気持ち』を持って臨みたい」

 21歳の若武者がそう語れば、1度は引退を決意したこともある山崎も、今後の現役生活についてこう答えた。

「『1年でも長くやりたい』なんて思っていませんよ。楽天では、その年ダメなら終わりだ、くらいの気持ちでやっています」

「過去や未来を断ち切り、今を生きる」という教え。

「野村の教え」のなかに「前後裁断」という言葉がある。「過去や未来を断ち切り、今を生きる」という意味なのだが、今の楽天は監督解任をきっかけになんらかの団結力が増し、この言葉の精神が強烈に浸透しているのだろう。

 21日からは北海道日本ハムとの第2ステージが待っている。岩隈久志、田中が完投したことで、第1戦は永井怜が先発するだろう。投手力ならば、ダルビッシュ有を欠き、先発陣が万全ではない日本ハムよりも分がある。不安視されている中継ぎ陣も、シーズンの対戦では防御率2.80と安定している。

 これからのポストシーズン、今季限りで楽天のユニフォームを脱ぐ名将は、どのような喧嘩を相手に仕掛けるのか? まずはそこに注目したい。

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