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最後の大物グレイシー、ホジャー・グレイシーの挑戦 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph bySusumu Nagao

posted2008/04/15 00:00

最後の大物グレイシー、ホジャー・グレイシーの挑戦<Number Web> photograph by Susumu Nagao

 桜の季節も終わり、いよいよ陽光まぶしき初夏へ。

 格闘技界も昨年とは打って変わり、今年は春から初夏にかけてビッグな総合格闘技イベントが目白押しだ。

 4月29日は『DREAM.2』、5月11日は『DREAM.3』、5月18日は『戦極〜第二陣〜』といった具合に、毎週のように興行が行われている。

 昨年のUFCによる“PRIDEショック”という惨状を考えてみれば、まさかこんなに早く日本の格闘技界が立ち直るとは思いもしなかった。しかし冷静にあたりを見渡してみれば、結局のところ日本という土壌からは決して格闘技は消えないのだな、とその歴史の深さからなるニーズの大きさを思い知るばかりである。

 だが、“PRIDEショック”の余波はまだそこかしこに燻っており、日本の格闘技界は完全に立ち直ったわけではない。その点でまず挙げられるのが、外国人選手不足であるということだ。ミルコ・クロコップの出戻りなどあったが、やはり一線級の有名な選手はUFCに集中しており、日本市場における外国人選手の迫力不足は否めない。

 考えようによっては、日本の選手たちが大きくクローズアップされるチャンスでもあるのだが、目の肥えた日本の格闘技ファンからすれば、いささか寂しいのが正直なところ。

 そんな中、「おっ!」と期待をよせられる選手として異彩を放っていたのは、DREAMのライト級トーナメントに参戦しているエディ・アルバレスだ。スタンドの強さとバランス感覚にけれん味がなく、非常にタイトなファイトで好感を持ったものだ。

 そして、日本でまだその雄姿を見ていないのだが、戦極に参戦が決定したホジャー・グレイシーにも注目したい。

 そう、お察しの通りあのグレイシー一族のひとりである。またグレイシーかよ、と思うなかれ。確かにこれまでヒクソンやホイスをはじめとして、さまざまなグレイシーが日本に登場したのでそう思うのも分からなくはないが、ホジャーに対しては、これまで以上の期待がかかっているのだ。いわば、“最後の大物グレイシー”といっても過言ではない。

 その期待の根拠となるのが、過去の十分な実績や、垢抜けた容姿にある。

 ホジャーは、柔術の世界選手権ムンジアルや、寝技の世界最高峰であるアブダビコンバットで優勝を飾っており、グラウンドという部分ではその実力に疑いようはない。戦い方は非常にクレバー。一族の性とでもいおうか、幼少のころからしっかりと仕込まれた裏打ちあるベーシックな技術に、豊かなイマジネーション。ポイントゲームになりがちな競技で、常に一本を狙う姿勢は素晴らしい。

 そして、身体のサイズが193cmの100kgというのもいい。比較的に小兵が多いグレイシー一族にあって、このサイズならば問題なく格闘技の華であるヘビー級戦線で戦える。

 最後は、そのマスク。こう言っては失礼だが、グレイシー一族の方々は、気難しい表情の人が多い。いや、もちろんそうじゃない人もいるし、性格もいい人は多い。ただ、平均的にベビーフェイスというには程遠いのだ。が、ホジャーときたらどうだ。その端麗な顔立ちからは、優しさが漂っており、またどこか悲しみというか憂いが見え隠れする。性格もおとなしいと聞く。ざくっとしたイメージだが、同じブラジリアンの名レーサー、故アイルトン・セナを彷彿とさせる雰囲気がある。

 うーん、言い過ぎかもしれないけれど、やはりスターの登場を願ってやまないし、実際ホジャーはその最右翼ともいえるのだ。

 しかしながら、不安要素もある。ホジャーのMMAの実績は、まだ1戦のみ。06年12月のMMAデビュー戦ではロン・ウォータマンから腕十字で勝利を納めているが、ほぼ寝技の展開だった。つまり、打撃への対応力は未知数。数多くの有名柔術家やグラップラーがこれまでMMAに挑戦してきたが、打撃に対応できず辛酸を舐めることは珍しいことではない。

 さて、ホジャーの運命やいかに。しかし、ハマれば大ブレイクの予感がする。

 そうだ。あと波をおこすのに必要なのは地上波か……。そういえば、戦極には某民放キー局が接触を図っているという噂が聞こえてくるが、果たしてどうなることやら……。

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