女子カーリングに見る中国の驚嘆すべき強化体制。
姚明をこの世に送り込んだくらいだから、冬季オリンピックへの熱意だって並々ならぬものがある。特にオリンピックの正式種目に採用されたばかりで、競技レベルがまだ未成熟な――たとえば、フリースタイルスキーのエアリアルなどには他の競技から選手を転向させ、メダルを狙える選手に「変身」させている。
そうした中国の「変身プロジェクト」のなかで、成功を収めているもののひとつがカーリングだ。
2009年、韓国で行われた女子の世界選手権の優勝チームをご存じだろうか? 中国なのである。つまり、バンクーバー・オリンピックで中国は金メダル候補の一角と言って構わない(現在の4強を形成しているのは、中国、カナダ、スウェーデン、デンマークの4カ国である)。
中国の代表チームが変わっているのは、16歳を過ぎてから国に命令されてカーリングを始めた点にある。
世界最大のカーリング人口を持つカナダ、そしてヨーロッパの強豪国の場合、早ければ小学校入学くらいから、遅くとも10代前半にカーリングを始めるケースが多い。ところが中国の場合は、ショートトラックの国家代表になれなかった選手たちなどをカーリングに転向させ、国家のお抱えのプロとして強化してきたのである。
中国のスキップ(指示を出したり、ラストロックを投げる要のポジション)の王選手は、2001年に17歳でカーリングを始め、5年後にはパシフィック選手権優勝、そして8年後には世界の頂点を極めてしまっているのである。
選手の適性を見極める力、そして金メダルを獲得するまでの時間的、経済的な投資を考えると、中国に匹敵する国はどこにも見当たらない。
国家の五輪に懸ける姿勢が女子カーリングに集約される。
ただし、こうした強化体制に疑問を投げかける向きもある。カーリングは草の根スポーツだから強化に特化するのを是としない風土があるのも確かだ。
それでもバンクーバーでは、女子カーリングの中国から目が離せないのは事実だ。中国チームの戦略、そして技術は見ていて面白いのだ。
ストーンの進行方向を掃除する「スウィーピング」は通常は3人で行うが、中国は時として4人全員で掃いて、掃いて、掃きまくる。
そして戦略面でも、試合の序盤からガードを置いて積極的に点を取りに来る(ふつうは氷の状態を見極めるのでおとなしい戦略を取りがち)。
今回、「クリスタル・ジャパン」と名付けられたチーム青森は、どちらかと言えばディフェンシブな手堅い試合運びが持ち味なので、その意味では対照的だ。
国の全面バックアップを受けている中国と、独自の強化路線を歩んできた日本。
オリンピックは、選手たちの力量や技術だけでなく、国のバックアップ体制を俯瞰する絶好の機会でもある。
■関連リンク► バンクーバー冬季五輪2010:特集ページ
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