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「サンタさん、3ポイントをちょうだい!」イギリス&プレミアシップのクリスマスシーズン 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2004/12/27 00:00

「サンタさん、3ポイントをちょうだい!」イギリス&プレミアシップのクリスマスシーズン<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 イギリスのクリスマスは感覚的には日本の年末年始に近い。イギリス人の多くは実家に帰って家族と共にクリスマスを祝う。街中のデコレーションもさほど派手ではなく、クリスマス・ソングがひっきりなしに流れているというわけでもない。あくまでも「ゆったりと過ごす休日」といった感じの風景だ。

 しかしプロ・サッカー選手に休息はない。それどころか、シーズンの中でも最も忙しい日程を消化することになる。クリスマスから正月にかけての10日ほどの間に、何とリーグ戦が4試合、更にその数日後には、(プレミアシップ勢も参加する)FAカップ第3ラウンドが控えている。さすがはサッカーが庶民の生活に密着しているイギリス。「この時期にこそ家族揃って観戦を!」とでも言わんばかりに、スケジュールがぎっしりと詰まっている。

 こうしたサッカー三昧の年末年始の初戦は、こちらでは祝日にあたる12月26日(ボクシング・デー)に行われるため、クリスマス・イブとクリスマスの両日にも練習が行われることになる。他にもクラブショップでのサイン会や地元のクリスマス・ツリー点灯式など、選手たちはまさに息つく暇もないほどの忙しさだ。クリスマス時期にリーグが中断する欧州大陸出身の選手たちが愚痴をこぼすのも無理はないが、そこはひとつ、億単位の年棒を支えるファンのためということで我慢してもらいたい。

 マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督が、「本格的なシーズンは1月1日に開幕する」と言っているように、シーズン後半突入を告げるこの時期の成績は非常に重要だ。過密スケジュールをどう乗り切るかは、タイトルの行方やプレミアシップ残留争いに大きな影響を及ぼすことになる。

 第18節のノーリッジ戦で今シーズン4度目の「4-0」勝利を記録し、リーグ首位を走るチェルシーとしては、休日を返上してでも現在の勢いを失わずに突っ走りたいところだろう。一方、「プレミアシップ創設以来、最下位でクリスマスを迎えたチームが降格を免れた例はない」というジンクスを背負わされたウェストブロミッチ・アルビオンは、覚悟を決めて後半戦に臨まなければならない。まずは、ディフェンスの改善が最優先課題だ。

 シーズン前半の成績が振るわなかった各チームは、1月の移籍マーケットで着実な補強を行なうために奔走することにもなる。監督連中も着々と「欲しい物(選手)リスト」を書き上げているようで、移籍の噂もぼちぼち聞こえ始めてきた。ウェストブロミッチのブライアン・ロブソン監督のリストには、マティアス・アルメイダ(ブレシア)らの名前が連ねられている。ジブリル・シセの骨折(今シーズン絶望)で得点力強化が必須のリバプールは、フェルナンド・モリエンテス(レアル・マドリッド)獲得に興味を示しているという。アーセナルを抑えて堂々2位でクリスマスを迎えたエバートンが、ウェイン・ルーニー売却で得た軍資金をどう使うのかも興味深いところだ。もちろん「お金はいくらでもあげるから、好きな物を買いなさい」というタイプのチェルシーからも、相変わらず目が離せない。

 中には一足先にお目当ての物を手に入れた連中もいる。ポーツマスの監督を辞任してから2週間足らずで、あろうことか地元ライバルのサウサンプトンの監督に就任したハリー・レドナップは、ポーツマス時代の片腕であるジム・スミスを再びアシスタントに迎えることに成功した。FAカップでニューカッスルとの対戦が決まったイェディング(セミプロ)の選手たちなども、クリスマス・プレゼントとお年玉を同時にもらったような気分だろう。イェディングのファンは、勝ち負けを度外視して、一生に一度あるかないかのビッグクラブとの対戦を心待ちにしているはずだ。

 とはいえサポーターにとっての最大のプレゼントは、やはり「勝ち点3ポイント」。チームの見事な勝ちっぷりに気をよくし、恵比須顔で年末年始を迎えたい。私もそんな期待を胸に、青いサンタ帽をかぶってスタンフォード・ブリッジ(チェルシーのホーム)に行くつもりだ。どうか2005年も良い年でありますように。

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