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本田圭佑は第2のパク・チソン?
オランダリーグの「中継貿易」。 

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杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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posted2009/08/27 11:30

本田圭佑は第2のパク・チソン? オランダリーグの「中継貿易」。<Number Web> photograph by AFLO

PSVはじめ各国リーグから注目を集めているVVVの本田圭佑

 現在、オランダリーグの欧州内でのレベルは10番目。イングランド、スペイン、イタリア、ドイツ、フランス、ロシア、ウクライナ、ルーマニア、ポルトガルに次ぐ位置にある。かつてはもう少し上だった。アヤックスが欧州一に輝いた直後には、欧州で5番目の位置にいた。欧州戦線での活躍も、'04-'05シーズンのCLでベスト4入りしたPSVが最後になる。

 やや落ち目であることは確かだ。その理由は、オランダリーグで活躍した選手が、経済力で勝る欧州のリーグにすぐ移籍してしまうことにある。選手の移籍の自由を認めるボスマン判決の影響を、最も受けたリーグと言っても言い過ぎではない。

育成に力を注ぎ、「オランダ経由」をブランドに。

 もっとも、ボスマン判決の前後でオランダのスタンスが変わったわけではない。安く買って高く売る姿勢は一貫している。第三国でプレーする有望株にいち早く目をつけ、安い値段で獲得し、育て、一流国へ高い値段で売ってきた。オランダはつまり「中継貿易」で繁栄してきた国ということになる。ロマーリオ、ロナウド、イブラヒモビッチなど、オランダ経由で欧州のビッグクラブへと羽ばたいていった選手は数限りなくいる。

 南米やアフリカ出身の選手にとって、欧州サッカーは異文化だ。それに即なじむことは容易ではない。オランダはその点に着目し、商売根性を発揮した。欧州サッカーになじませる場所としての使命を買って出た。いわば経由地として、欧州内での存在価値を示してきた。人口わずか1600万人。身の丈にあった、小国ならではの発想に則り「オランダ経由」のブランド化を図ってきた。

 一番の目的は勝利にあらず。クラブ経営の理念を育成に置いている。悪く言えば、高いお金で売るために、育成に力を注いでいる。アヤックス、PSV、フェイエノールトの3強とて例外ではない。アヤックスはCLで'94-'95シーズン優勝、翌'95-'96シーズンに準優勝を飾ると、選手の8割方がいなくなった。他国の有力クラブに散っていったのだ。その後の最高位は、ベスト8。PSVも'04-'05シーズンで準決勝に上りつめると、活躍したパク・チソン、イ・ヨンピョを直ちに売り払っている。

開幕4戦連続得点の本田圭佑は第2のパク・チソンとなるか?

 一方、時の監督ヒディンクは、そのシーズンに何度もアフリカに出かけている。ベンチをコーチに任せ、中継貿易の商人として、有望な若手探しに奔走していた。

 マンUで活躍する、パク・チソンの今があるのも、オランダ経由のたまものだ。VVVで開幕から好調を維持している本田圭佑も、その流れに乗ることができるだろうか。ここまでは順調なステップだ。選択が賢明であったことを証明している。

 彼は欧州サッカーの研修期間を有意義に過ごしているわけだ。次に用意された階段は易しいものになっている。小野と平山は少し道を踏み間違えたが、日本人にとってもオランダが欧州サッカーの登竜門であることは間違いない。

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