SCORE CARDBACK NUMBER

80歳の老将が現場復帰。
マーリンズ再生なるか。
~J・マキーオン監督就任によせて~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

PROFILE

photograph byAFLO

posted2011/07/16 08:00

80歳の老将が現場復帰。マーリンズ再生なるか。~J・マキーオン監督就任によせて~<Number Web> photograph by AFLO

2003年もシーズン途中から指揮を執り、75勝49敗と見事マーリンズを再生させたマキーオン

 老いてもなお意気軒昂な船頭がカムバックした。6月20日、直前までに19戦18敗と急降下したフロリダ・マーリンズのロドリゲス監督辞任に伴い、ジャック・マキーオンが新監督に就任したのだ。御年80歳でのメジャー監督は、1950年のコニー・マック(87歳=アスレチックス)に次ぐ史上2番目の高齢記録。日本では「傘寿」と呼ばれる年齢だが、過酷な闘いの場を前にしても平然とこう言った。「うちのカミさんは私が家からいなくなって喜んでいるよ」。就任直後、にこやかにジョークを飛ばすあたりが、百戦錬磨の指揮官ならではだった。

 '73年、ロイヤルズの監督に就任して以来、延べ5球団で指揮を執った。捕手だった現役時代のメジャー経験はないものの、本格派の投手陣を中心とした「クラシック・スタイル」の野球で、'03年にはマーリンズを世界一に導いた。通算1011勝を挙げた手腕、特に個性派揃いのチームを束ねる人心掌握術は他の追随を許さない、とも言われる。

リアイア後も、1日10時間以上にわたり各試合をチェック。

 '05年に勇退して以降、マーリンズの特別アドバイザーとして肩書きだけは残っていたが、実際は悠々自適なリタイア生活を送っていた。もっとも、シーズンが始まれば、野球人としての性は黙っていなかった。米国東部時間帯のノースカロライナ州の自宅に滞在しながら、毎晩のように3時間の時差がある西地区の試合までテレビで観戦。1日10時間以上にわたり各試合をチェックし、午前2時過ぎにベッドに向かう日々を過ごす。寝ても覚めても野球が頭から離れることはなかったという。

 6月9日には松井秀喜が所属するアスレチックスのゲレンが解任、23日にはナショナルズのリグルマンが辞任するなど、シーズン途中での監督交代劇は珍しくない。しかし、たとえ暫定であったとしても、80歳の高齢監督の復帰は、なかなかお目にかかれない。

 年功序列、派閥などのしがらみがあれば、マキーオン復帰はあり得なかった。必要とされているのは、確かな戦術眼と、孫よりも若い選手達を統率できるだけの求心力。「最終的にプレーオフへ導くのが私の使命。まあ、95歳まではやれると思うよ」。試合後の会見で、大好きな葉巻をくゆらせる老将の姿に、期待感を抱くファンも少なくはない。

■関連コラム► 解任続出の前半戦に見る、メジャー監督の悲哀。
► 弱小チームを蘇らせた、“ヒルマンイズム”。(08/05/01)

関連キーワード
ジャック・マキーオン
フロリダ・マーリンズ

ページトップ