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サッカーの国際的平板化と
それでも残る代表チームの“癖”。 

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杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2009/09/22 08:00

サッカーの国際的平板化とそれでも残る代表チームの“癖”。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

9月5日のオランダ戦では後半20分で力尽きた岡田ジャパン。「癖」や「爆発力」となる可能性のあった本田圭佑もチームになじめずに終わった

スポーツ大国アメリカには、経験不足を補う要素がある。

 6月に南アフリカで行なわれたコンフェデ杯で、そのスペイン代表を破り決勝に進出したアメリカにも、毎度「魂」の存在を強烈に感じる。ゲルマン魂にも通じるガッツも、体力もある。真面目、勤勉、忠実。精神的な粘りもある。サッカー的には決して先進国ではないが、スペイン、ブラジルを目の前にしても、びびることはない。アメリカンスピリットを背景に、対等な目線で堂々と勝負を挑んでいる。スポーツ大国としての誇りが、サッカー的な不足分を補っている。そんな気がしてならない。

 隣国の韓国にも魂を感じる。ベスト4に進んだ’02年W杯で、とくにそれを感じた。終盤になればなるほど盛り上がるタフな精神力。同点、逆転を信じて疑わない精神力の強さに仰天させられた。

日本はブラジル、オランダ、スペイン系の癖の無いタイプ。

 岡田サンが、南アフリカW杯の目標に「ベスト4」を掲げる最大の理由は「韓国ができたことを日本もやれないはずはない」になるが、韓国にあって日本にないものを模索している様子はない。日本は勝負根性に優れている感じではない。癖のない素直なサッカーをする、どちらかと言えばブラジル、オランダ、スペイン系だ。ドイツ、アルゼンチン、イタリア、アメリカ、韓国系ではない。

 つまり、100の力を120出せるタイプではない。変ながんばりは利かない国。後半20分で力尽きたオランダ戦を見ていてつくづくそう思った。ならばどうするか。そうした割り切りも必要なのだと僕は思う。

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岡田武史
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