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大混乱のF1序盤戦を整理し、
欧州での跳ね馬逆襲を待つ。 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2009/04/28 06:01

大混乱のF1序盤戦を整理し、欧州での跳ね馬逆襲を待つ。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

 4月26日、バーレーンの首都マナーマ郊外のサクヒール・サーキットで第4戦バーレーンGPは開かれた。J・バトン(ブラウン)が、先行するトヨタ勢をピットストップで逆転。トヨタのタイヤ戦略ミスを追い風に今季3勝目をマークする結果となった。3月29日にオーストラリアのメルボルンで開幕し、5週間で4戦を消化したF1開幕フライアウェイ戦もこれで終り、グランプリ・サーカスは本拠地ヨーロッパにようやく帰還である。5月10日のスペイン・グランプリからいよいよ今シーズンの戦いも本格化するが、これまでの4戦を振り返り、今後どのような展開になっていくかを考えたい。

昨年と順位が入れ替わった下克上時代へ。

 1位ブラウン(9位)、2位レッドブル(7位)、3位トヨタ(5位)ときて、以下マクラーレン(2位)、ルノー(4位)、BMW(3位)、トロロッソ(6位)、ウイリアムズ(8位)、フェラーリ(1位)、フォースインデア(10位)と続く(カッコ内は昨年の成績)。これは4戦を終えた時点でのコンストラクターズ・ランキングであり、トップのブラウンGPの昨年9位という順位は同チームをホンダ後継チームとみた時のもので、厳密には新興チームであってランキングは与えられない。

 見てすぐに分かると思うが、この順次が示しているのはまさに下克上の様相。勢力分布の“リバースグリッド”化が進行していることがハッキリ見て取れる。今シーズンは面白い! といわれるゆえんは単に最初の3戦でセーフティカー出動や天候不順で“荒れたレース”が続いたからばかりでなく、新旧勢力の逆転現象が起きているからに他ならない。それはなぜか? 理由をふたつ挙げてみたい。

 ひとつは両横綱だったマクラーレンとフェラーリの内部事情だ。この2チームは昨年最終戦まで激しいタイトル争いを展開。最後の最後まで2008年用マシンのアップデートに精力を注入していたために、2009年用マシンの開発が手薄になってしまった。むろんいずれ劣らぬ層の厚い組織だけにリソースは豊富であるが、フェラーリからはロス・ブラウン、マクラーレンからはエイドリアン・ニューウェイという技術開発の要となる人材がすでに流失している。それでも車両レギュレーションが継続的であるうちはオリジナル・コンセプトの正常進化でしのげるのだが、今年はレギュレーションが激変した。新しい車両を開発する音頭取りがいなくなったことが両チームの序盤戦には致命的だった。

 この逆を行ったのがブラウンGPで、ロス・ブラウンはHRF1チーム代表就任時から「今年も重要だが、来年の車両の開発にリソースを注ぐことも大事」としきりに発言していた。まさか大本のホンダが撤退するとは思ってもみなかっただろうが、ありていにいえば2008年車両の開発に熱くならず、水面下で着実に2009年用マシンを開発していたことが、驚異の開幕ダッシュに繋がったと見ていい。マシンそのものは奇を衒ったところがなく“素性の良さ”が売り物のよう。タイヤに負担をかけず高い性能を長いラップにわたって持続できるところが強さのポイントだ。また、信頼性の高さも躍進を底支えしている。

<次ページに続く>

► 【次ページ】 結果だけみると、KERSは勝利に貢献していない。

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