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今季は昨季の続編、注目はバイエルン。 

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杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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photograph byMichi Ishijima

posted2005/09/01 00:00

今季は昨季の続編、注目はバイエルン。<Number Web> photograph by Michi Ishijima

 出揃った32チームの顔ぶれを見てまず思うのは、常連組が多いことだ。昨季のベスト16の中で、連続出場を果たしたチームは実に14チームを数える。ベスト8に至っては、全てがチャンピオンズリーグの舞台に無事舞い戻ってきたことになる。ここまで入れ替わりが少ないケースも珍しい。常連組とそれ以外との格差が、以前にも増して広がっていることが、背景にあることは間違いない。欧州的に見れば、大きな問題なのだろうが、欧州人ではない日本人は、そんなお節介を焼く前に、それを単純に受け入れた方が健康的な気もするので、その点は省略して、話を先へ進めることにしたい。

 となればだ、昨季の戦いが、そのまま今季に持ち越されることになる。新たな戦いと言うより、続編が展開されることになる。

 昨季を振り返りながら今季を展望することに、真実が見出しやすいとなれば、僕は昨季、各チームが演じた「終わり方」「敗れ方」に注目したくなる。それが最も良かったチームはどこなのか。良いムードを感じさせながらも、惜しくも舞台から消えていったチームにこそ、明るい未来が待ち構えている気がしてならない。

 筆頭格はミランだ。決勝でリバプールにPK負け。特に延長後半は、優勢に試合を進めていたわけで、PK負けは不運の一語に尽きる。準決勝でそのミランをギリギリまで追いつめたPSVの戦いぶりも記憶に残る。決勝に進出していても不思議ではない終わり方をした。準々決勝でそのPSVにPK負けしたリヨンも悪くない負け方をした。決勝トーナメント1回戦でチェルシーに敗れたバルセロナも印象に残る。チェルシーはバルセロナと今季もう一度、戦いたいと思っているだろうか。試合には勝ったけれど、その時、相手の強さをさぞや実感したに違いない。チェルシーは、続く準々決勝でも苦戦した。相手はバイエルン。固いチェルシーの守備陣が、ガタガタに崩れ、バイエルンの終盤の猛攻に青息吐息になった。そしてチェルシーは、続く準決勝のリバプール戦に敗れた。バイエルンが良い終わり方をしたことで、チェルシーは調子を狂わせた。

 ミランはリバプールに対して、強者の立場で臨んだ。リヨンとPSVの関係は実力伯仲だった。チェルシーとバルサも同様。となると、ミランに敗れたPSVと、チェルシーに敗れたバイエルンが、格上相手に対し最も良い終わり方をしたチームになる。「買い」たくなるチームに見えてくるが、客観的に見て、今季のPSVには、昨季同様の活躍は望みにくい。戦力ダウンは誰の目にも明らかだ。昨季も戦力ダウンの状態で臨みながらベスト4入りしたわけだが、それで2年連続は難しいのではないか。というわけで、昨季の続編という考え方を重要視すれば「今季はバイエルンが面白い」という話になる。

 実際、サッカーの面白さという点で、これほど進歩したチームも珍しい。4,5年前に比べてチームカラーは、守備的サッカーから攻撃的サッカーへガラリと変身した。

 バイエルンは昨季と同様、ユベントスと同じ組でグループリーグを戦う。まさに続編という気がするが、昨季はそこでユーベの後塵を拝している。仮に今季、ユーベを抑え首位通過したとなると、俄然、明るい気配を抱かせる。チェルシー、ミラン、バルサにとっては、手強い存在になってくる。

 バイエルンに変身を感じたのは、一昨季のチャンピオンズリーグだ。決勝トーナメント1回戦でレアル・マドリーに惜敗した試合に、何より好印象を抱かせた。つまり彼らは、2年続けて良い終わり方をしたわけだ。「買う」気を起こさずにはいられない。

 片や、レアル・マドリーは、続く準々決勝でモナコに敗れたそのシーズンを含め、2季連続良くない終わり方をしている。とても「買う」気は起きないのだけれど、ロビーニョ、バプチスタの加入で、今季どこよりも攻撃力をアップさせたチームであることも疑いようのない事実だ。負け方はワーストながら、この「新銀河系軍団」には、続編を続編でなくしてしまう爆発性がある。そうなればそうなったで、また楽しからずや、なのだけれど。

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